ポップスの作曲・アレンジに役立てるための、効率的なピアノ練習法【独学OK】
「作曲・アレンジに役立てる」のが目的なので、ポップスやロック等の、いわゆるポピュラー音楽を想定している。次の4点を意識して練習するのが良い。
- コードを押さえられるようにする
- クラシックの教本で基礎練習をする
- メロディを弾けるようにする
- 応用編(好きな曲を練習する、etc.)
ピアニストになるのでなければ、独学でも十分ピアノの習得は可能だ。
1. コードを押さえられるようにする
ポップスの作曲をするには、コードの知識が必要だ。弾き語りでもバンドでの演奏でも、ピアノパートの役割の多くはコードバッキングだ。それにコードが弾ければ、MIDI打ち込み作業も圧倒的に時間短縮できる。
そこで、まずは各種コードを押さえられるようになろう。左手でルート音、右手でその他の構成音(+ルート音)を押さえる。これがピアノでコード弾きをするときの基本スタイルだ。同じコードネームでも転回形が複数あるので、それらも押さえられるようにしておこう。
いきなり12キー全てを拾わずに、シャープやフラットが少なめのキーのダイアトニックコードから覚えていくと良い。お気に入りの曲のコード進行を演奏してみるのも良い練習になる。
トライアド、4和音、ディミニッシュコード、テンションコード、分数コード……必要に応じて、押さえられるコードを増やしていこう。
なお、コードの押さえ方についてはネットで検索するなり本を読むなりして欲しいが、一点重要なことを書いておく。
- ルート音が同じ場合、他の構成音の順番を入れ替えても、同じコードとみなす
(例:「ドミソシ」、「ドソシミ」、「ドシソミ」 → ぜんぶ「CM7」というコード)
ルート音(=最低音)が同じなら、右手の押さえる順番は自由。この大原則を覚えておけば、自分でコードのボイシングを考えられる。きれいな響きになるよう、自分なりに考えて工夫してみよう。
2. クラシックの教本で基礎練習をする
クラシックピアノの教材は、やはり指の運動能力を高める上では最も効率が良い。「指越え」や「指くぐり」など、基本的な指使いを学ぶにも良い。読譜力も身につく。
指のトレーニングツールとしては、「ハノン」がオススメ。初心者から上級者まで幅広く使われている。ハノンを全部やるのは大変なので、練習効果の高いものだけ厳選しよう。下記サイトでは、おすすめの曲が抜粋されている。
練習曲の教本は、バイエルやブルクミュラー、ツェルニーなどがある(←難易度順)。自身のレベルに合わせて選ぼう。
3. 右手でメロディを弾けるようにする
基礎練習で指が動くようになれば、お気に入りのヒット曲の歌メロをなぞることも難しくないだろう。気になったメロディはどんどん弾こう。
慣れてきたらメロディを弾きながら、左手でルート音やコードを押さえてみよう。
また、左手でルート音を押さえる場合は、右手でメロディと同時にコードの構成音を弾くのも良い。メロディとコードの構成音を、3度や6度の関係になるようにするのがポイントだ(そうならないケースも多いが)。これができれば、ピアノ一台で曲を表現するのも可能になる。
4. 応用編
好きな曲を練習する
バンドスコアでもピアノソロの作品でも、好きな曲の楽譜を買ってきて練習しよう。楽器.meのように、J-POPのコード進行が掲載されているサイトを見ながら、音源と合わせて弾くのも良い練習になる。
どんな曲を弾いても音楽力のアップにつながるが、おすすめはジャズ系の作品。ポップスの音楽はジャズがベースになっている部分も多く、使われている和音も上位互換的なものが多い。
なお、ジャズ的な演奏にオススメの教本としてジャズハノンを紹介したい。古くからあるが、今でもよく売れている一冊だ。タイトルに「ハノン」と付いているだけあって基礎的なトレーニングが中心の本だが、ジャズのコードやフレーズを効率よく学ぶことができる。
MIDI打ち込みを、鍵盤のリアルタイム入力で行う
DAWで曲を作る人も多いだろう。MIDIを打ち込むときは、全てのパートを鍵盤からリアルタイム入力しよう。最初は大変かもしれないが、地道に続ければ上手くなっていく。何より、圧倒的な速度で打ち込み作業が進んでいくのは快感だ。どんな練習よりも効果的だと僕は感じている。
練習に必要な楽器
本物のグランドピアノで練習するのが一番良いが、日本の住宅環境を考えると、なかなか現実的ではない。練習には電子ピアノやステージピアノなど、88鍵のハンマーアクションのものが望ましい。夜間でもヘッドホンを繋いで練習できる。
なお、安いMIDIキーボードだと、鍵盤の長さが本物のピアノよりも短かったりする。気持ちよく演奏できないので、練習用途にはあまりオススメできない。また、シンセ鍵盤のような柔らかいタッチに慣れていると、本物のピアノの重い鍵盤で弾くときに大変だ。その逆は割と問題なく行けるので、ピアノタッチの鍵盤で練習するのが良い。
電子ピアノは安いものなら、KORG LP-180は3万円台から売られている。コストパフォーマンスを考えるなら電子ピアノが最適だ。予算と相談して、楽器屋で試奏してから買うと良い。
DTMでも使いやすいステージピアノだと、もう少し高く(10万円台)なるが、YAMAHA CP40 STAGEあたりは、コンパクトでタッチもよくオススメだ。なおステージピアノタイプはスピーカーが内蔵されておらず、キーボードスタンド等も別途必要になってくるので注意。
さいごに
楽しく練習するのが一番大事。作曲やアレンジに役立てるだけなら、必死で練習しなくても何とかなる。気楽にやろう。