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FinaleでMIDIデータから楽譜を作る方法

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はじめに

「ボーカリストに仮歌を依頼するために、譜面を用意しなきゃ……大変だなぁ」

「Cubase付属の譜面機能を使っているけど、表示が綺麗じゃないんだよなぁ……」

このように、譜面の用意に手こずっている人は意外と多いかもしれない。しかしFinaleを使えば、これらの悩みは解決する。MIDIデータを整えてからFinaleに読み込めば、売っているような美しい譜面を作ることができる。

今回は、MIDIデータをFinaleに読み込んで譜面を作る方法を紹介していく。

1. MIDIデータからボーカル用のメロディ譜面を作る

ここでは、DAW上で手弾きした童謡「ふるさと」のメロディのMIDIデータを、FInaleに読み込んで譜面を作る手順を紹介する。

(参考)故郷 (唱歌) - Wikipedia

1-1. あらかじめDAW上でMIDIデータを整形しておく

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あらかじめMIDIデータを完璧にクオンタイズしておくのが重要。Finaleに読み込んでから音価や休符の調整をするのは面倒なので、上記画像のようにMIDIデータの時点でキッチリ整形しておいたほうが、作業は圧倒的に楽だ。

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上記画像は、CubaseでMIDIのリアルタイム入力で童謡「ふるさと」のメロディを入力した状態。この程度のズレでも、Finaleに読み込むと後から補正が必要になってしまう。きちんとクオンタイズしておこう。

それと、忘れてしまいがちなのが、音価のクオンタイズ。MIDIノートの長さも、きちんとグリッドに揃えておこう

ちなみにCubaseでは、

  • メニュー>編集>高度なクオンタイズ>「MIDIイベントの長さをクオンタイズ」

からMIDIノートの長さのクオンタイズが可能なので、上手く活用するとよい。

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MIDIデータの整形が済んだら、MIDIファイルを書き出す。

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1-2. FinaleにMIDIファイルをインポート

Finaleを起動し、譜面ウィザード等は開かずに、右上のバツ印をクリック。次の画像のような「空のFinale」に、MIDIファイルをドラッグ&ドロップしよう。

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MIDIデータをドラッグ&ドロップすると、設定画面が現れる。

MIDIファイル入力オプション

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まずはMIDIファイル入力オプションを見ていく。

  • テンポ・チェンジ情報
  • 連続的データ
  • マーカーを付箋に変換

の3項目は、必要ないのでチェックを外しておく。

また、下の方にある

  • パーカッション用の五線を作成

のチェックも外しておく。

※余談だが「調号:元のファイルから推測」のオプションは、チェックしたところで部分転調に対応できないことが多いため、僕は使っていない。

クォンタイズ設定

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続いて、「クォンタイズ設定」をクリックする。このウィンドウでは、「どの程度細かい音価までFinaleに認識させるか」を決める。

ここでは次のように設定する。

  • もっとも短い音符:8分音符を選択
  • 採譜結果:「連符を使用しない」にチェック

OKをクリックし、MIDIファイル入力オプションのウィンドウに戻る。さらにOKを押すと、譜面が生成される。

1-3. 生成された譜面を調整

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上記のような譜面が生成される。はじめにMIDIデータのクオンタイズをしっかりやっておいたので、音符の長さや休符の位置は完璧な状態になっている。

MIDIファイルが無事に読み込めたところで、譜面を整える作業をしていく。まずは、キーを適切に設定しよう。

  1. 小節をすべて選択し、右クリック>調号>「調号の設定」と進む。

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  2. キーを「Gメジャー」に変更し、移調の設定を「既存の音符はその音程を維持:異名同音で書き換え」にチェック。

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  3. OKを押す。

上記の操作を行えば、正しいキー(Gメジャー)に変更できる。

あとは、微調整として

  • 変形図形ツールでスラーを書き足す
  • 空白の小節(1小節目)を削除する
  • 五線のパート名(「Melo」)を、スコアマネージャーから削除する
  • 1段目の五線の左側の余白を、「ページ・レイアウトツール」で詰めておく
  • 1段あたり4小節になるように、「小節のはめこみ」コマンドを適用する

といった作業を行えば、見栄えのする譜面になってくれる。

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2. MIDIデータからストリングスのスコアを作る

さて、ここからは以前の記事で作ったデモ音源のストリングスパートのMIDIデータを、Finaleに読み込んでスコア譜面を作る手順を紹介する。

※参考までに紹介すると、Vienna Chamber Stringsの記事で用意した音源だ。

2-1. あらかじめDAW上でMIDIデータを整形しておく

MIDIデータからストリングスの譜面を作るときも、ボーカル譜面のときと同じように、MIDIデータをキッチリと整形しておく。

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ストリングスのMIDIデータは、

  • キースイッチが入っていたり
  • スタッカートを表現するために音価が短くなっていたり
  • 細かいフレーズが多かったり
  • 奇数連符が出てきたり

することも多々あるので、整形は大変かもしれないが、めげずに頑張ろう。※これでも手書きするよりはずっと楽なので……

2-2. FinaleにMIDIファイルをインポート

空のFinaleウィンドウに、MIDIファイルをドラッグ&ドロップする。MIDIファイル入力オプションについては、ボーカル譜面のときと全く同じように設定すればOK。

ただし、クオンタイズ設定では少し工夫が必要だ。

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ボーカル譜面のときと同様に、「曲中で登場する最小音価」を設定する必要がある。今回のストリングス譜面で使う最小音価は5連符。どのように設定すればいいのだろうか?

結論からいうと、「204 EDU」に設定すればOK。EDUって何?という感じだと思うので、Finaleのマニュアルから引用して紹介すると、

Finaleでは、リズム(音価)を表す単位として、EDUという独自の単位も使用します。

4分音符 1024

出典:計測単位の違い

とのこと。「4分音符=1024EDU」と換算するルールになっているようだ。

まとめると、2項目のチェックは次のように設定すればよい。

  • もっとも短い音符:204 EDUに設定(手動で値を入力する。※1024÷5≒204)
  • 採譜結果:「連符を混合したリズム」にチェック

この状態で、MIDIファイルをインポートした結果がこちら。

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音符・休符の長さともに完璧に表示されている。

2-3. 生成された譜面を調整

あとは、

  • ビオラの音部記号をハ音記号に変更
  • キーを適切に(E♭に)設定する
  • 表示を横長に(ページ・レイアウトツールを選択し、メニュー>ページレイアウト>「ページサイズ編集」から設定可)
  • スコアマネージャーからパート名(正式五線名/省略五線名)を設定
  • スラーやスタッカート、トリル、ピチカート指示などの書き込み(今回はやっていませんが)

といった調整を行えば、見栄えのする譜面になってくれるだろう。

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おわりに

DAWでの曲づくりがスタンダードになった昨今、ゼロから譜面を書くよりも、DAW上のMIDIデータを元にして譜面を作ることのほうが多いかもしれない。

もしそういった必要に迫られている人がいれば、この記事を参考にスピーディーに作業を進めてもらえればと思う。