Cubaseで覚えておきたいショートカットキー(中級者向け)
※2018年9月16日 画像追加(GIFアニメ)。
今回はCubaseの中級者向けショートカットキーを紹介する。以前の記事で書いた初級者向けのショートカットキーをマスターしていない人は、先にそちらを習得することをお勧めする。
※Macの人はCtrl → Commandと読み替えてください
カーソルの移動関連
1小節移動
- 1小節前へ:-(テンキー;要設定)
- 1小節後へ:+(テンキー;要設定)
プロジェクトカーソル(再生バー)の1小節分の移動は、最も使用頻度の高い操作の一つだ。それにも関わらず、なぜかCubaseではこの操作がデフォルトでショートカットキーに割り当てられていない。
そこで、メニューバーより、ファイル>キーボードショートカットと進み、ショートカットキーを自分で設定しよう。
※このショートカットは、コマンド一覧の「トランスポート」フォルダ内にあります。
僕はこれらの操作を、テンキーの「-」と「+」にそれぞれ割り当てている。これらのキーはデフォルトでは「巻き戻し」と「早送り」に割り当てられているが、個人的には使うことが無いので上書きしてしまってもいいと思う。
マーカー間移動
- カーソル位置を前のマーカーに設定:Shift + B
- カーソル位置を次のマーカーに設定:Shift + N
前後のマーカーへジャンプ(移動)する。
曲の位置を把握するためにはマーカー機能は必須。移動用のショートカットも覚えておくと便利だ。
ロケーター位置の設定
- 左ロケーター位置を設定:Ctrl + 1(テンキー)
- 右ロケーター位置を設定:Ctrl + 2(テンキー)
ロケーターの開始位置/終了位置を、現在のカーソル位置に設定する。
作った曲をオーディオ化するためにはロケーターで範囲指定をする必要がある。よく使う操作なので覚えておきたい。
ロケーター間の移動
- 左ロケーター位置に移動:1(テンキー)
- 右ロケーター位置に移動:2(テンキー)
ロケーターの開始位置/終了位置にジャンプする。
再生関連
サイクル再生のON/OFF:/(テンキー)
ONのときは、ロケーターの範囲内でループ再生が行われる。
メトロノームを使用:C
クリック音のON/OFFを切り替えることができる。
プロジェクトの表示関連
全体を表示:Shift + F
プロジェクト全体を表示させたいときに使う。曲の尺に応じて、自動的に全体を見渡せるレイアウトにしてくれるので便利。以前の記事で紹介したズームイン・ズームアウトとセットで覚えておこう。
イベントの操作・編集関連
次のグリッドタイプを選択:V(要設定)
こちらも使用頻度が高いにも関わらず、なぜかショートカットキーが割り当てられていない操作のひとつだ。
通常、プロジェクト画面においては、小節ごとにスナップが効くようになっている。したがって、例えば1拍ごとにキックのサンプルをオーディオトラックに貼り付けたいときは、ツールバー上でグリッドタイプを「小節」→「拍」に切り替える必要がある。
この切り替え操作をショートカットキーに割り当てておくと便利だ。キーを押すたびに、「小節 → 拍 → クオンタイズ値を利用」と切り替わってくれる。
僕はこの操作をキーボードの「V」に割り当てて使用している。「左手をホームポジションから動かさずに押せて、他の操作への割り当てがなかった」というのがその理由だ。
現代の音楽制作では、サンプル素材のwavファイルをオーディオトラックに貼り付けて音楽制作を行うことが多々あるため、そういった際には重宝する機能だろう。
複製:Ctrl + D
たとえば、1小節分のリズムループをオーディオトラックに貼り付け、それを16小節分コピー&ペーストするようなときに便利。
MIDIノートやMIDIイベントでも、もちろん使うことが可能。
ツール関連各種
- 矢印ツール:1
- 鉛筆ツール:8
- はさみツール:3
- のりツール:4
- ミュートツール:7
よく使うものをピックアップした。だいたいツールバーの並び順に、左から番号が割り当てられている。MIDI編集画面でもプロジェクト画面でも、共通して使えるショートカットだ。
ちなみに矢印ツールの状態で「1」を2回押せば、タイムストレッチモードになり、オーディオクリップの端をドラッグすることで、引き伸ばしたり縮めたりできる。
余談だが、矢印ツールを選択時、Altキーを押している間は鉛筆ツールとして使うことができる。人によってはこちらの方が使いやすいかもしれないので紹介しておく。
ウィンドウ表示関連
VSTコネクション:F4
Cubaseの音声の入出力と、オーディオインターフェイスの入出力を対応させるための画面。
MediaBayの表示:F5
手持ちのサンプル素材の確認、検索、試聴などができる。ダブルクリックでDAWに即座に貼り付けられるのも便利。
VSTインストゥルメントの表示:F11
VSTインストゥルメントの一覧を表示できる。
VSTパフォーマンス:F12
パソコンへの負荷を確認できる。
終わりに
今回は中級者向けのショートカットキーと題して、覚えておけばCubaseの操作がスムーズに進むようなものを紹介した。すべて覚えれば音楽制作が捗ること間違いなしだ。
カラオケで高い声を出せるようになった僕が実践した練習方法
はじめに断っておくが、僕はもともと高音が得意ではなく、長年カラオケでは高い声が出せずに苦労していた。そんな僕が、2冊の本を読んで独学でボイストレーニングをした結果、半年後には地声(正確にはミドルボイス)で出せる音域が、ファ#~ラまで、1音半も広がった。
具体的な曲名を挙げると、SMAPの「世界に一つだけの花」が限界の状態から、レミオロメンの「粉雪」を歌えるようになるまでに、音域が広がったことになる。その後もトレーニングを続け、今では上のドくらいまでは地声で発声することができるようになった。
多くのヒット曲は、最高音がソ~ラ程度になっている。もし地声でラまで出せるようになれば、歌える曲のバリエーションが桁違いに増える。人によって歌唱力の差はあれど、歌を上手く歌うためには「曲の音域が自分の声域にあっているか」が重要になってくる。つまり、高い声が出せるようになれば、上手く歌える曲の数が増えることにもなるのだ。
高い声が出せずに悩んでいる人は、ぜひ読んでみて欲しい。
高音発声の基礎知識
声帯を調節するための筋力が必要
高い声を出すために必要なのが、声帯を伸展させたり、閉鎖するための筋力だ。これらの筋力が不足していると、いくら頑張っても高い声を出すことは出来ない。僕自身もそうだった。
上手くコツをつかんですぐに高い声が出せる人もいるが、そういう人は元から高音発声に必要なだけの筋力があっただけだ。才能が無いとあきらめる前に、まずはこのことを知っておいて欲しい。声帯を調節するための筋肉を鍛えることが、高音発声のカギになってくる。
ミドルボイスの習得がポイント
プロの歌手の力強い高音は地声のように聴こえるが、大なり小なり裏声成分が含まれている。高音に行くにつれて裏声成分の量を増やしていくのが高い声を出すためのコツだ。
地声の声区は3つに分かれており、低い音域から順に、それぞれ次のように呼ぶ。
- チェストボイス(低音域)
- ミドルボイス(中~高音域)
- ヘッドボイス(高音域)
ソ~ラ程度の高音は、ミドルボイスの範囲に含まれているため、一般的なロックやポップスの曲を歌うことを考えた場合、必然的にミドルボイスの習得を目指してトレーニングすることになる。
声帯の伸展を鍛える
ここからは、具体的なトレーニング方法について記述していく。
大抵の男性は、日常的に裏声を出す習慣がないため、特に、声帯を伸展させるための筋力(輪状甲状筋)が発達していないことが多い。言い換えると、裏声を出してトレーニングすることで、声帯を伸展させるための筋力は鍛えることができる。
そのための良い練習方法がYUBAメソッドだ。
ボイストレーナーの弓場徹氏による著書『奇跡のボイストレーニングBOOK』の付属CDでは、練習の多くが裏声を出すような内容になっている。これによって、声帯を伸展させるための筋力を鍛えることができる。
裏声を出す練習は効果が絶大で、後述のロジャー本だけでは上手く行かなかった僕も、YUBAメソッドを併用するようになってからは、すんなりミドルボイスを見つけることができた。
声帯の閉鎖を鍛える
地声のような力強い声で高音を出すためには、声帯を閉鎖することが必要だ。そのためには、声帯を閉鎖するための筋力が必要。閉鎖筋を鍛えるのにおすすめしたいのが、ボイストレーナーのロジャー・ラヴ氏の著書、『ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術』(通称ロジャー本)。
この本の付属CDでは、ひたすら「Goog(グッグ)」という言葉で発声練習を行う。裏声は使わず、ひたすら地声で練習する内容になっており、閉鎖筋を鍛えるのに非常に効果的。
前述の「チェストボイス/ミドルボイス/ヘッドボイス」の声区分けについても、具体的に記述されている。実際にポップスやロックの曲で使うのは地声がほとんど。「地声のような力強い高音」を習得するにはこの本が良い。
前述のYUBAメソッドでは、裏声をベースにした状態から地声に近づけていくという方法を推奨しているが、僕にはこれでミドルボイスを見つけることはできなかった。ミドルボイスは僕にとっては、あくまで地声の延長線上という位置づけだ。
かといって、ロジャー本だけで十分というわけでもない。ロジャー本では裏声の練習が一切出てこない(それどころか、裏声に逃げないように推奨されている)ため、声帯の伸展を鍛えるには、この本だけでは不十分だと僕は考えている。
YUBA本とロジャー本、どちらが欠けても高音発声を習得することはできなかったと思うので、これらの2冊を併用して練習することをおすすめしたい。
僕が独自に行った練習方法
僕が独自に考えて行っていた練習方法も紹介する。
- 裏声の状態で高め(ファ前後)の音を発声する
- そのまま地声に変えていく(できるだけスムーズに)
- そのまま裏声に戻す
- 高さを変えて、1~3を繰り返す
ミドルボイスを出せない人が、この練習をきっかけに出せるようになることもある。実際僕は、この練習をしている最中に初めて力強い高音を出せたのだが、そのときにミドルボイスの習得を確信した。
またこの練習を行うことで、高音発声時にどこの筋肉が働くのかを体感することができる。必要な筋肉がわかれば、そこだけを働かせればよいので、発声時の無駄な力みを抑えることにもつながっていく。
さらに、裏声~地声~裏声となめらかに移行できるようになると、今度は裏声成分の量を調節することができるようになり、声質をコントロールすることもできるようになる。
- ATSUSHIのような裏声成分の多いミドルボイス
- hydeのような地声成分の強いミドルボイス
例として、上記のようなボーカリストの声に似せて発声することも可能だ。歌の上手い人は、表現の一環として曲中で声質を変化させることもある。裏声成分の量を調節する練習は、高音発声のみならず、歌うときの表現力向上にも有効だと僕は考えている。
上手く行かなければ無理せずボイトレに行こう
「1年くらい頑張ってるけど、いっこうに高音発声の感覚がつかめない……」そんな場合は、間違った方法(例:「喉を締めて声を出そうとする」等)で練習をしている可能性もある。間違ったフォームで練習を続けていると、後からそのクセを取るのは結構大変だ。
僕も喉絞めクセを取るため、一度フォームをリセットして0からやり直した経験がある。今思えばかなりの回り道をしてしまったように感じている。
イマイチ伸び悩んでいるなあという人は、無理せずに独学で粘らずにボイトレを受けてみるのも手だ。無料体験レッスンを開講しているボイトレ教室も多いので、気軽に体験しに行くといい。
おわりに
一般的な筋力トレーニングと同じように、高音発声のための筋力を鍛えるのにも多少は時間がかかる。すぐに結果が出なくても、焦らず気長に練習を続けて欲しい。高い声が出せるようになれば、一気に歌うことが楽しくなる。
喉をいたわり、本で推奨されているように水分を十分補給しつつ、じっくりと声帯の閉鎖と伸展を鍛えていこう。
中島美嘉「STARS」のコード進行を徹底分析 ~J-POP史上最強のリハーモナイズ~
※2019年6月25日:内容が分かりやすくなるように、文章をアップデート
はじめに
注意:とても複雑なコード進行になっています。
中島美嘉の名曲、「STARS」。上質なメロディを緻密なアレンジで包み込んだ、極上のポップスだ。編曲を手がけたのは冨田恵一氏。非常に高度なリハーモナイズが施されていて、冨田サウンドがとことん味わえる一曲になっている。今回はこの曲のコード進行を分析していきたい。
中島美嘉 『【HD】STARS( ショートver.)』 - YouTube
- コードは耳コピで採譜しています
- 便宜上、♭→ b と表記します
コード進行
※Key = F
イントロ
※最初のエレピの下降アルペジオの部分は(N.C.)と表記。
この曲のキーはFなのだが、いきなり非ダイアトニックコードのオンパレード。「キーがFなのに、なぜAbM7やDbM7みたいなコードが使えるの?」と思うかもしれないが、実はキーがFのときは、Key = Fmのダイアトニックコード(準固有和音)も使えるのだ。まずはこのことを把握しておこう。
度数→ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Key = F | FM7 | Gm7 | Am7 | BbM7 | C7 | Dm7 | Em7-5 |
Key = Fm | Fm7 | Gm7-5 | AbM7 | Bbm7 | Cm7 | DbM7 | Eb7 |
イントロのコード進行をおおまかに把握すると、「準固有和音を経て、ドミナントであるGm7/Cに向けて着地していく」というようなイメージだろう。
DbM7(VIbM7)は準固有和音であると同時に、サブドミナントマイナー(Bbm)の代理コードとも解釈できる(※Db音が入っているので)。なので「DbM7 → Gm7/C」という進行は、シンプルに考えると、「サブドミナントマイナー → ドミナント」という基本的なものになっていることがわかる。
Aメロ
| G/B Csus4/Bb | Am7 Am7/D F#dim |
| Gm7 C7 Bb7(9) | Am7 Am7/D Cdim |
| Bm7-5 Bbm6 | F/A A Bm-5 C#m-5 |
| Am7/D Dm7 G7(9,+11) | Gm7/C C/E |
| Gm7/C C7 | FM7/C Am7/D F#dim |
| Gm7 A Bm-5 C#m-5 |
| Dm7 Dm7/G F6 |
1~2小節目は2-5-3-6の、いわゆる"王道進行"の変形パターンがベースになっていて、
- G/B:
本来はGm7(IIm7)だけど、セカンダリードミナント(G7)化&オンコード化している。 - Csus4/Bb:
本来はC/Bb(V7)だけど、メロディがFに行く都合上、分子がCsus4になっている。 - F#dim:
D7(VI7)の代理コード。
という風にリハーモナイズされている。
3小節目のBb7(9) (IV7)はAm7(IIIm7)に解決するためのドミナントコード。この「半音上の7thコードから解決する」という流れは、ジャズではよく出てくるパターンだ。
4~5小節目の「Cdim → Bm7-5」の部分は機能的な解釈がしづらいが、半音上のdimからマイナー7thコードへ進行することは多いので、その応用と解釈できそうだ。
※Em7 → Ebdim → Dm7(in Key=C)のような進行はジャズではよく出てくる。
6小節目の3・4拍目は、完全にメロディに合わせたリハーモナイズといえそうだ。元はA7のところを、メロディに合わせて細かくコードを付けていると思われる。
7小節目のG7(9,+11)はオルタード・テンションを含むコード。#11thのC#音とメロディでもある9thのA音が長6度の協和音程になっているため、自然に聴こえる。この辺りの音選びが非常にハイセンスで良い。
Aメロの2回し目、9小節目からはベースが入ってくる。ベース音をC音で固定し、ペダルポイントを駆使したリハモにしているのが効果的。
Bメロ
| EbM7 Dm7 | EbM7 Dm7 |
| Gm7 F/A | BbM7 Bm7-5 Gm7/C E7+5-9 |
EbM7(VIIbM7)は他の曲でもよく登場するタイプの非ダイアトニックコード。手グセ的にみんな使うコードではあるが、音楽理論的に解釈すると、Gm7(IIm7)の代理コードといえる。
E7+5-9(構成音:[E G# C D F])はかなり複雑なハーモニーだが、ドミナントであるC7(V7)の代理コードと解釈できそうだ。
これはあくまでも僕のごく個人的な解釈だが、以下のような経緯でこのコードに落ち着いたのでは、という予想。
- Gm7/Cのままだとドミナント感が出ないので、C7にしたい。
- しかし、メロディのFと半音でぶつかるため、E音はルートに持ってきた。
- だがやはりルートに対してメロディが短9度で不自然なので、7thコードのオルタード・テンション扱いにできるようE7-9に。
- 元はC7だったんだから、コードにB音が入るのはおかしい。B音をC音にずらしE7+5-9に。
サビ
| FM7 | Bbaug/E Eb/A |
| G/A F#/A F/A C#dim |
| Am7/D Dm7 Cm7 F7 |
| BbM7 Bbdim | Am7-5 D7(-9,-13) D7/F# |
| Gm7 F/A | Bbm Bbm/Db Gm7-5/C E7+5,-9 |
| FM7 | Bbaug/E Eb/A |
| G/A F#/A F/A C#dim |
| Am7/D Dm7 C#m7 Cm7 F7 |
| BbM7 C/Bb | Am7-5 Am7-5/Eb D7(-9,-13) D7/F# |
| Gm7 F/A | EbM7 Dm7 Gm7/C |
2小節目は一見すごい進行だが、Em7-5(9) → A7-9,+11(VIIm7-5 → III7)のリハモ。音が濁りやすいローズ系のエレピでコードを弾いている関係で、不要な音をオミットしていると思われる。
3小節目はメロディに合わせたリハーモナイズ。元はG/A → A7-9だ。
5~6小節目は、4-5-3-6の王道進行が元になっている。
- Bbdim:
本来はC7(V7)となるところだが、サブドミナントマイナーBbm(IVm)に変更。さらにそれを、構成音の近いBbdim(IVdim)に変更。歌メロとも上手く合う。 - Am7-5:
本来はAm7(IIIm7)。Am7-5(IIm7-5)にすることで、Gm7に向かって解決していくような、「マイナーのトゥー・ファイブ進行(Am7-5 → D7 → Gm7)」にしている。
こういったリハモは、J-POPではよく出てくるテクニックだ。
サビの2回し目(9小節目~)は、基本的には1回し目と同じ進行。ただし、要所で変化が付けられている。中でも注目したいのが、13小節目3・4拍目のC/Bb。メロディが高く抜けるようなファルセットになるのに合わせて、よりドラマティックな進行に変わっている。こういった細かい部分も、アレンジャーの腕の見せどころだ。
間奏1
| FM7 | Gm7/C Bbdim |
| Am7 D7+9 Cdim | BbM7 Gm7-5/C | |
2~3小節目では、Aメロの4~5小節目でも出てきた、「ディミニッシュからマイナー7thへの半音下降」が登場。3小節目のCdimは、D7-9の代理コードと解釈できそうだ(ルート以外の構成音は一緒)。
間奏2
| FM7 Eb/G F7/A B7-13 |
2サビ後の短い間奏(というほどの尺ではないが)。Eb/Gからの部分は、元はCm7 → F7(Vm7 → I7)という進行。B7-13(Vb7)はF7(I7)の代理コード。
全体的に見ると、次のコードのBbM7に向かって着地していくような流れになっている。
Dメロ
| BbM7 Bm7-5 | F/C C#dim |
| Em-5/D Dm7 C#m7 Cm7 B7-13 |
| BbM7 Cm7/F |
| Bbm7 Eb7 | Ab/Eb Cdim |
| DbM7 Bbm7 Fm/Ab | Gm7(11) |
| Gm7/C | |
その後のDメロ。3小節目はフルートのオブリガートのメロディに合わせたリハモが見事。
5~7小節目は、サブドミナントマイナーであるBbm7(IVm7)をきっかけに、一時的にKey = Abに転調していると解釈できそうだ。
※もっとも、今までシームレスに準固有和音を使ってきたこの曲においては、いまさら部分転調だと解釈する必要もないかもしれないが……
8小節目のGm7をきっかけにキーがFに戻っていく。
3サビ終わり
| Gm7 F/A | Eb7(9) Am7/D F#dim |
| Gm7 Gm7-5/C | (2/4) |
サビ終わりを繰り返す静かな部分。2小節目のEb7(9) (VIIb7)がよい浮遊感を出している。静かになる展開と相まってとても効果的。
エンディング
| FM7(9)/C | Gm7/C | FM7(9)/C | Gm7-5/C | FM7(9) ||
最後はAメロでも出てきたペダルポイントを駆使しつつエンディングを迎える。「STARS」という曲名にピッタリな浮遊感を醸し出している。
おわりに
現在流行している音楽では、複雑なコード進行の曲はそれほど多くない。しかし、こういった楽曲を分析し、コード進行やリハモのテクニックを研究することは、作曲/アレンジのスキルを磨く上でとても有効です。
Cubaseで絶対に覚えておきたいショートカットキー(初級者向け)
※2018年9月16日 画像更新しました(GIFアニメ追加)。
今やプロ/アマ問わず、DAW*1での音楽制作が一般的になった。しかしDAWの作業はとにかく手間がかかるので、少しでも作業の効率化を図りたい。
作業の効率化にもっとも有効なのが、ショートカットキーを習得することだ。
ただ、ショートカットキーは数多く存在するので、どれを覚えていいのかわからないユーザーも多いだろう。そこで今回は初級者向けに、使用頻度が高く作業効率の向上につながるものを厳選した。
僕はCubaseユーザーなので、今回はCubaseを対象にショートカットキーを紹介していくが、他のDAWでも応用可能なので、もし知らないショートカットキーがあれば、手持ちのDAWでぜひ試してみて欲しい。
録音・再生関連
再生/停止:Space
最もよく使うのが再生/停止をするためのSpaceキーだろう。必ず覚えておきたいショートカットキー。
録音:*(テンキー)
MIDIのリアルタイム録音、オーディオ録音ともに共通している。スペースキーを押すと録音が止まる。
ズームまわりの4つ
これから紹介する4つのキーはとなり合っている。左手の人差し指~小指で押せば、手元を見ずに打てるので効率的(都合よくFとJのキーには突起がある)。
ズームイン(拡大):H
細部を見たいときに使うコマンド。画像はMIDIトラックのキーエディタだが、トラック一覧画面やコンソールウィンドウでも拡大可能だ。
ズームアウト(縮小):G
全体を俯瞰して見たいときに使うコマンドだ。ズームイン同様、トラック一覧画面やコンソールウィンドウでも使える。
オートスクロールのオン/オフ:F
オートスクロールのオン/オフを切り替えられる。
スナップのオン/オフ:J
MIDI/オーディオイベントを編集する際に、マウスカーソルが基準の位置(小節頭など)に自動で補正されるようになる。
トラックの表示、ミュート、ソロ
選択トラックを拡大表示:Z
選択されているトラックが拡大表示される。波形編集をするときや、オーディオ録音をするときに使おう。
ミュート:M
選択されているトラックの音が無音になる。
ソロ:S
選択されているトラックの音だけが、単独で聴こえるようになる。
よく使うウィンドウの表示/非表示
トランスポートパネルの表示/非表示:F2
テンポ、クリック音の有無、カーソルが存在する小節位置などがひと目で分かる。常に表示したままにしている人も多いと思うが、何かの拍子に消えていることもあるので覚えておきたい。
ミキサー(MixConsole)の表示/非表示:F3
Cubase8以降ではシングル・ウィンドウ表示が主流になってきたが、ミキサーを常時表示させていない人は覚えておきたい。
MIDI編集関連
クオンタイズ:Q
打ち込みの最大の利点と言っても過言ではない機能が、このクオンタイズだ。MIDIノートのリズムのズレを、正しい位置に補正してくれる。リアルタイム入力でMIDIを打ち込む人にとっては、特に役に立つコマンドだ。
プロジェクトファイルの操作関連
※Macの人は「Ctrl → Command」と読み替えてください。
保存:Ctrl + S
プロジェクトファイルを上書き保存するショートカットキー。DAWでの音楽制作はマシンへの負荷が高くなることが多く、ソフトがクラッシュして落ちることも多々ある。こまめに保存する習慣をつけておきたい。
元に戻す:Ctrl + Z
直前に行った操作を取りやめる。
再実行する:Ctrl + Shift + Z
取りやめた操作を、再実行する。「元に戻す」とセットで覚えておこう。
おわりに
今回は初級者向けに、基本的なショートカットキーを紹介した。中級編・上級編もあるので興味のある方は読んでみてください。
関連記事
*1:Digital Audio Workstation
ギター歴15年の僕がおすすめする、最高にかっこいいギターインスト10曲
初めてギターを手にしてから気づけば15年も経っていた。ギターヒーローへの憧れが強い僕がおすすめする、ギターインスト10選。
ギターインストの世界ではテクニカルな作品を良しとする考えもある。しかし、テクニックはあくまで音楽を表現するための手段の一つだと僕は考えている。そこで、今回は音楽的に優れているかどうかという観点から選曲を行っている。
- 1. Cliffs of Dover/Eric Johnson
- 2. Far Beyond The Sun/Yngwie Malmsteen
- 3. Triptych/SIAM SHADE(DAITA)
- 4. Room 335/Larry Carlton
- 5. Fives/Guthrie Govan
- 6. Jaguar/春畑道哉
- 7. Scuttle Buttin'/Stevie Ray Vaughan
- 8. A Fair Wind/Char
- 9. Midnight Express/Extreme(Nuno Bettencourt)
- 10. Mediterranean Sundance/Al Di Meola(with Paco de Lucia)
1. Cliffs of Dover/Eric Johnson
1曲目はEric Johnsonの「Cliffs of Dover」。気が遠くなるような美しいトーン(音色)に、流麗なフレーズが魅力だ。この曲が持つキャッチーで爽快なメロディは、日本人の心にもすんなりと入ってくるだろう。ライブでは基本的にアドリブで演奏しているが、スタジオ盤の構築されたフレーズもまた魅力。
2. Far Beyond The Sun/Yngwie Malmsteen
続いては"王者"イングウェイの「Far Beyond The Sun」。「ネオ・クラシカル」というジャンルのパイオニアである彼の音楽性を象徴する一曲。速弾きやスウィープ・ピッキングなどのテクニカルな要素に耳が行くが、ダイナミックかつ繊細なビブラートや、緩急をつけたフレージングなど表現力の高さにも注目したい。
ラストのキメフレーズも注目ポイント。ライブではほとんどアドリブで演奏を行うイングウェイも、ここだけは必ずCD通りに演奏するという徹底ぶりだ。
3. Triptych/SIAM SHADE(DAITA)
Triptych, a song by SIAM SHADE on Spotify
国内屈指のテクニカル・ギタリスト、DAITA。この曲ではキャッチーでポップな彼のメロディセンスが光る。タッピングやフルピッキングの速弾き、開放弦を交えたレガートといった、彼を語る上では欠かせないテクニックもふんだんに散りばめられた一曲だ。
4. Room 335/Larry Carlton
ジャズ・フュージョンの名曲、ラリー・カールトンの「Room 335」。335とは彼の使用しているギター、Gibson ES-335が由来だ。この曲もアドリブで演奏されることが多いが、スタジオ盤の構築されたフレーズも素晴らしいので必聴だ。
5. Fives/Guthrie Govan
圧倒的なスーパーテクニックで、高難度のフレーズを自由自在に演奏するガスリー。彼の代表曲が、この「Fives」だ。フュージョン風のサウンドの中で、華麗なテクニックが畳み掛けるように登場する。
6. Jaguar/春畑道哉
TUBEというバンドのギタリストというポジションにとどまらず、一人のギタリストとして評価が高い春畑道哉。彼の代表曲がこの「Jaguar」だ。野球中継のテーマ曲だっため、権利の問題でCD化が実現されなかったが、2008年ついに、実に公開から10年もの時を経て、待望のCD化を果たした。
TUBEのヒット曲のほとんどを作曲してきただけあって、メロディや楽曲の構成が非常に秀逸。高速フレーズもさらりと弾き倒すテクニックの高さ、感情のこもった熱いトーンにも注目だ。
バージョンが複数あるが、オリジナルバージョンの'08がオススメ。
Michiya Haruhata BEST WORKS 1987-2008~ROUTE86~
7. Scuttle Buttin'/Stevie Ray Vaughan
今まで紹介してきた曲はハードロックやフュージョン寄りの楽曲が多かったが、このスティーヴィー・レイ・ヴォーンはブルース系のギタリストだ。彼の代表曲が、この「Scuttle Buttin'」。シンプルなブルース進行の上で、浅く歪んだ心地よい音色のストラトキャスターがスピード感のあるフレーズを繰り出していく。
8. A Fair Wind/Char
日本では有名なギタリストのChar。彼の代表曲は多くあるが、今回はこの「A Fair Wind」を取り上げたい。ニュース番組のテーマ曲にもなった一曲。軽快なアコースティックギターのストロークが入ったバンドサウンドの中で、爽やかな旋律が奏でられていく。Charらしいアーミングも健在だ。
9. Midnight Express/Extreme(Nuno Bettencourt)
Extremeのギタリスト、ヌーノ・ベッテンコート。彼の凄まじいリズム感はアコースティックギターでも健在。どことなく民族音楽を匂わせるようなリズムとサウンド感に、開放弦を駆使した「左手タッピング」を交えた高速フレーズが特徴的。
10. Mediterranean Sundance/Al Di Meola(with Paco de Lucia)
最後に紹介するのは、ジャズ・フュージョンギタリストのアル・ディ・メオラと、フラメンコギタリストのパコ・デ・ルシアによる名曲「Mediterranean Sundance」。静けさと激しさを併せ持つ情熱的なサウンドの中で、2本のガット・ギターが凄まじいギターバトルを繰り広げる。
五本の指をフルに使い、強力なダイナミクスで自在にフレーズを繰り出すパコ。負けじとフラット・ピックによるフル・ピッキングで対抗するディメオラ。フラメンコギターの神であるパコと、よりによってガット・ギターで共演してしまったため、どうしもパコのすごさが目立ってしまうのだが、ディメオラの高度なピッキング技術も見どころだ。