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最強のベース音源、Trilianを徹底解剖(デモ音源あり)

はじめに

TrilianはSpectrasonics社からリリースされているベース音源だ。

前身のベース音源Trilogyも評価が高かったが、Trilianはそれを更にパワーアップさせたものとなっている。2009年の発売以来、定番ベース音源として確かな地位を確立してきた。現在もプロ/アマ問わず愛用者は多い。

長所は大容量サンプルのおかげで音色がリアルなところ。ラウンドロビン対応で、同音連打するようなフレーズでも機械的になりづらい。

弱点はスライドの自由度が低いところ。スライドを多用するような演奏の再現は難しい。

Spectrasonics社の製品は基本的に日本語マニュアルがない。オンラインヘルプがあるが、全て英語になっている。同社のソフトはどれもマニュアルを読まなくても使えるような設計になっているが、僕自身せっかく長年愛用してきたのだから、持っている知識を備忘録的に記事にすることにした。

SSDの使用を推奨

エレキベースやウッドベースはパッチが重く1GBを超える。ロードを速くするためにも、サンプルはSSDに入れて使うことをおすすめする。

ちなみに、Spectrasonicsの製品はライブラリの移動を簡単に行える。もしHDDからSSDに移行したいような人でも、再インストール不要で手間がかからな い。

Media Integrationのサイトで具体的な方法が説明されているので、紹介しておく。

Spectrasonicsライブラリフォルダ(SAGE/STEAM)の移動方法(代理店サイト)

Crucial SSD 1000GB MX500

音色を使う際のポイント

エレキベースやウッドベース

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エレキベースやウッドベースではスライドやグリスダウンなどの奏法も駆使するので、キースイッチでパッチを切り替えられるよう、「マルチ」のプリセットを選ぶと良い。画面上部の黄色い背景部分(赤枠)から、マルチが選択できる。

※Trilianでは、「パッチ」の集合体を「マルチ」と呼ぶ。

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キースイッチではパッチを切り替えられる。よく使うのはGliss UpやStaccato、X-Notes(ゴーストノート)などだろう。

逆にハーモニクスあたりはあまり使わないかもしれない。あまり使わないパッチがあれば削除してもいいし、パッチの選択画面から「FX Slides」などの汎用性の高いパッチに変えてしまうのも良い。

パッチを切り替える場合は、上部1~8のスロットを選択した状態で、TRILIANというロゴの下の、背景が黒い部分(上の画像の青枠)をクリックしよう。ここからパッチの変更ができる。

デフォルトのプリセットでは、内蔵エフェクトが各パッチ個別にかかっている。CPU負荷も高くなってしまうので、必要なければエフェクトは削除しても問題ないと思う(僕はEQやコンプはDAWでまとめて掛けている)。

シンセベース

シンセベースに関してはマルチのプリセットがないので、普通にパッチを選んで使用すればよい。サウンドソースから波形を選択し、自分でフィルターをかけて…と音作りしていくこともできる。

メイン画面の見方

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左側のツマミから見ていく。

  • AMP: アンプの音
  • PICKUP: ラインの音
  • RELEASE: 音が途切れる際の(指やピックの)リリースノイズ
  • VELOCITY: ベロシティの感度(値が大きいほど強弱がつけやすくなる)
  • LEGATO: 後述のハンマリング/プリングを有効にするかどうか

実際のエレキベースのレコーディングでは、DI直の音とベースアンプをマイクで拾った音を両方録音しておいて、ミックスダウンのときに両方とも鳴らすことが多い。ここではそれらの比率を決めることができる。出したい音に応じて変えるのがよいが、基本的には半々ぐらいで混ぜておけば大丈夫だと思う。

ただし、もしプラグインのアンプシミュレーターを別途通す場合は、DI直の音のみになるよう「AMP」のツマミは最小にしておこう。

その他のツマミは、デフォルトでかかっているエフェクトのパラメーターと連動している。このあたりは選択するパッチによっても変わってくるので、エフェクト画面と照らし合わせて確認するとよいだろう。

使い勝手の良いパッチ

主にエレキベースを中心に紹介していく。ドラムとベースだけの、簡単な音源サンプルも用意した。Trilianの内蔵エフェクトはすべて外し、ベーストラックにはDAW上でEQやコンプ等をかけている。

Clean Fender Keyswitch Open

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ジャズベースの指弾きの音。ポップスやファンク、R&Bなど、様々な音楽で使える音色だ。ミュートの音が必要なければOpenを選んでしまってOKだろう。

サンプルのアタックが遅いので、スタート位置を遅らせる(サンプルの頭を切る)とよい。

Rock P-Bass Pick Keyswitch Open

プレシジョンベース(プレベ)のピック弾きの音。ロック系の曲には打ってつけ。「Open」なしのプリセットだと、ブリッジミュートの音も出せる。

Studio Bass Keyswitch

Musicman StingRayの音。輪郭のはっきりした音なので、ベースラインがきちんと聴こえる。

Studio Slap Keyswitch

スラップの音。こちらもStingRay。TrilianはStingRayの充実度がやたら高い。スラップならこれで決まり。

Trilian Acoustic 1 Keyswitch

ウッドベースの音。3GB以上ある激重パッチだが音は良い。

TR-Minimoog(自作パッチ)

シンセベースは種類がたくさんあるが、やはりMinimoogあたりが使いやすい。上記サンプルの音色は、まずパッチを初期化し、サウンドソースから波形を選択してフィルターをかけて作っている。波形はレイヤーAでは「TR-Minimoog Saws wide 2OSC」、レイヤーBでは 「TR-Minimoog Triangle」を選び、同じくらいの音量バランスで混ぜている。

覚えておくと便利なTips

  • 音が切れる前に次の音を入力すると、ハンマリング(プリング)になる(音程が半音 or 全音のとき)。
  • サスティンペダルを踏みながら入力すると、モノフォニックになる&音が途切れなくな る(「EDIT」ページ内の「SUS」が「2」のとき。これはデフォルト設定)。これによりルート弾きフレーズでも、MIDIキーボードでリアルタイム入力がしやすくなる。