【レビュー】Focusrite Scarlett 6i6 G2は安いのに高音質。コスパの高いオーディオインターフェイスです

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はじめに

Focusriteのオーディオインターフェイス「Scarlett 6i6 G2」を紹介する。主に音楽の再生用として使っているため部分的なレビューとなってしまうが、安価な製品とは思えないような音質の良さに驚いたので記事にしてみる。

簡単なスペック詳細

  • アナログ4入力(2入力はXLRコンボでMic/Line/Inst切替可、2入力はTRSフォン)
  • アナログ4出力(TRSフォン)
  • デジタル入出力(S/PDIF)
  • ヘッドフォン端子2つ(TRSフォン)
  • MIDI入出力1つずつ
  • USB接続

価格は2万8千円程度だ。

Scarlett 6i6 G2の良いところ

安いのに音が良い

「音が良い」というのは、個人の主観に大いに左右される話でもある。ただ、音質に影響を与えるAD/DAの部分については、昔よりも高品質なチップが安いコストで搭載できるようになってきている、そんな客観的事実もあるのだ。

具体的に見てみよう。Scarlett 6i6 G2の下位機種(※入出力数が違うだけ)に、Scarlett 2i4という製品がある。これに搭載されているAD/DAコンバーターのチップは「CS4272」だ。

(参考)bo: Focusrite Scarlett 2i4 inside.

上位機種のScarlett 6i6 G2にも、同等以上のチップが搭載されていると考えるのが自然だろう。そして、この「CS4272」というAD/DAのチップは、Apogee Ensembleに搭載されていたAD/DAと同じチップだ(確定情報ではないが)。

(参考)Audio interfaces and their AD/DA chips LISTED - Gearslutz

Apogee Ensembleといえば10年ほど前、15万円くらいで販売されていたオーディオインターフェイス。当時プロミュージシャンの愛用者も多く、文字通りプロユースのオーディオインターフェイスといえる製品だ。

もちろんAD/DAだけではなく、他の要素(クロック、アナログ回路、電源など)も音質には影響してくる。だが、このクラスのAD/DAを積んでいる機種が3万円程度で手に入るというのは、当時を知る者としては信じられない感覚だ。

もっとも、これはたぶんScarlettシリーズに共通している話で、もっと言えば最近のオーディオインターフェイスの多くに当てはまる話かもしれない。ただ、10年前のオーディオインターフェイスのラインナップを考えると、今は非常に恵まれている時代だと感じる。

スタンドアローンのミキサーとして使える

コレが個人的には嬉しいポイント。Scarlett 6i6 G2は、スタンドアローンのミキサーとしても使える。PCの電源が入っていなくても、シンセやらデジピ、アンプシミュレーター等をつないで音を出すことができるので、楽器の練習や作曲をする上で非常に便利。

なお、6i6未満のScarlettのマニュアルには、「スタンドアローンのミキサーとして使える」という記述は見当たらなかったので、機能がカットされているような雰囲気だ。

S/PDIF端子が付いている

最近の安いオーディオインターフェイスにはS/PDIF端子(デジタル端子)が付いていないことも多いが、Scarlett 6i6 G2にはちゃんと搭載されている。

他の機材との連携を図る上では、S/PDIFのようなデジタルの端子があるのは心強い。例えば、将来Grace Design m905のようなDAC付き高級モニターコントローラーを手に入れたとする。S/PDIFで接続すれば、Scarlettからの出音はm905のDACの音質になるので、Scarlettという資源を活用することもできる。S/PDIFが付いていないと、こういう使い方はできない。

Grace Design m905

アナログの入出力も本格的

基本的なアナログの入出力も充実している。「TRSフォンじゃなくてTSフォン」「ヘッドホン端子がミニプラグ」みたいな、安いインターフェイスにありがちな仕様ではない。

他機種との音質比較

※完全に個人の主観となるのでご了承ください。

Echo AudioFire 4と比較

Echo AudioFire 4も、安価な割に高音質なオーディオインターフェイスだった。音質面でScarlett 6i6 G2と比較すると、出音の傾向は違えど、クオリティは同等という印象だ。

音質の傾向に関して。AudioFire 4の方は出音がクッキリしていて、解像度が高い印象。各楽器の音が分離して聞こえやすい。RME的な正確な出音という印象。

Scarlett 6i6 G2は出音がまろやかで暖かい印象。解像度が高いというよりも、各楽器が上手く馴染む印象。音楽的な出音をしているイメージ。

RME Fireface UCと比較

Fireface UCと比較しても、Scarlett 6i6 G2の音質が劣るようなことはない。24bit/48khzのwav等だとまた変わってくるかもしれないが、普段mp3で音楽を楽しむ限りでは大きな差はなさそう。

音質の傾向に関しては、AudioFire 4との比較と全く同じ。Fireface UCは解像度の高い出音。Scarlett 6i6 G2は暖かい出音をしている。

Echo AudioFire4とRME Fireface UCは使っているAD/DAチップの型番も近い(AK4620系。未確定情報だが)ので、音質の傾向が近いのも頷ける。

(参考:さっきと同じ)Audio interfaces and their AD/DA chips LISTED - Gearslutz

Focusrite Controlについて

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Focusrite Controlとは、オーディオインターフェイスの入力/出力信号や、PC内部の音声信号を調整するためのミキサーソフトだ。信号のレベルや定位を調整することができる。RMEのTotalMixのような自由度はもちろん無いけど、通常用途では問題ない。

ミキサーの設定をスナップショットとして保存することも可能だ。

Focusrite Controlの注意点

スナップショットのセーブ/ロードをするときは、保存ファイルの場所に注意。ディレクトリ(フォルダ名)に2バイト文字(半角英数字以外の文字)が含まれていると、セーブ/ロードに失敗してしまうようだ。

僕の環境固有の問題かもしれないが、一応メモしておく。

その他のTips

出力レベルについて(キャリブレーション用)

最大出力レベルは+16dBu(out1/2) or 14.5dBu(out3/4)。マニュアルには記載がないが、公式サイトに書いてある。

(参考)Scarlett 6i6 | Focusrite

Scarlett 6i6 G2の出力をモニターコントローラーに通すときなど、レベルのキャリブレーションの際に知っておきたい情報だ。

Focusrite Controlでは、出力端子からのレベルは1dB単位でしか調整できないが、PC内部音声のレベルは0.5dB単位で微調整できる。なので、out3/4からの出力も上手くやればキャリブレーション可能だ。

サポートからの返事が速い

後述のクラックルノイズの件で、一度Focusriteのサポートにコンタクトを取ってみたが、すぐに返事をもらうことができた(もっとも、そのときは具体的な解決方法は得られなかったが)。

ある程度英語が得意な人なら、バグ報告などは直接送っても良さそうだ。

イマイチなところ

通電時、音が途切れる

スタンドアロンのミキサーとして使っていても、PCに接続する瞬間、再接続が行われるようで、音が途切れてしまう。

クラックルノイズが発生する@Win10(対処法あり)

2019年に入って、Windows 10を最新ビルドにアップデートしたところ、ノイズが発生するようになってしまった。iTunesで音楽を再生している最中に、ランダムに「エフェクターの"トレモロ"のようなノイズ」が発生してしまう。そんな症状だ。

実はこのノイズの件、海外ではよく報告されていて、Google検索で製品名を入力すると「crackling noise」というサジェストが出るくらい。YouTubeにも動画が上がっていて、うちとまったく同じ症状だ。

僕も最初は困っていたのだが、無事に解決できたので対処法を紹介しておく。

  • バッファサイズを短めに設定する(僕の場合128くらい)

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これだけ。これでなぜか問題なく再生できるようになった。たしかに僕は今まで、バッファサイズを512や1024で使っていた気がするが、128に下げてからは一度もノイズは出ていない。

ちなみにこの対処法は、上記のYouTubeのコメント欄で紹介されているものだ。

Hello, I was having this issue and so far this has worked: Lower buffer size! It's kind of the opposite you would think of, but I think larger buffer sizes doesn't give enough time to the internal clock source to adjust itself. Type on the Windows search bar "ASIO control panel" and lower the buffer size (I have it at 64). Maybe the explanation is wrong, but so far it's working. Hope it helps!

 https://www.youtube.com/watch?v=85Y9OMJ56Tk

それを試して直った人からの感謝のコメントも複数あるので、効果的な対策法なのかもしれない。

おわりに

3万円でこれだけ充実した機能を搭載しているのはすごい。テクノロジーの恩恵を感じさせるような、コストパフォーマンスの高い製品だと感じた。

クラックルノイズの報告があったりと、ドライバの安定性はさすがにRMEには及ばない気もするが、安定動作さえ勝ち取ってしまえばこちらのもの。普段RMEのような上位機種を使っている人にも、サブ機としてオススメできるモデルだ。

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