コード進行を耳コピするコツ

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このブログでは、コード進行の分析記事をいくつか書いてきた。

それらの記事のコード進行は、どれも耳コピで採譜している。僕は音楽を始めたばかりのころは全く耳コピはできなかったが、今ではどんな曲でもコードを聴き取れるようになった。

数年~十数年という長いスパンで、徐々に音を聴くスキルが上がってきたように感じている。音楽鑑賞、楽器演奏、作曲、アレンジ、音楽理論の勉強。どの経験も耳コピ作業には役立っている。

耳コピ作業には、多少の努力や執念が必要だ。ビギナーにとっては簡単にこなせる作業ではないかもしれない。しかし、そのコツを知っていれば作業の労力が減る可能性はある。今回は、僕の今までの経験を元に、コード進行の耳コピをするコツについて書いていく。

はじめに

音は全部で12個だけ

オクターブの違いを無視すれば、基本的にドレミファソラシドの7音と黒鍵の5音、全部で12音しかない。例えば、コードのルート音がどうしても聴き取れない場合でも、12回試せば、そのうち1回は必ず正しいことになる。

コード(和音)も、これらの12音を組み合わせて同時に鳴らしているだけだ。焦らずじっくりやれば、誰でも正解に近づくことはできるはずだ。

ピアノを弾けると有利

ギターでも和音が押さえられるので、ギターを使って耳コピ作業をすることも十分可能。しかし、やはりピアノが便利だ。ピアノは複雑なコードでも簡単に押さえられるので、色々なジャンルの曲で耳コピに役立てられる。

※ピアノを習得するメリットについては、このブログでも以前記事を書いた。→ 作曲家・アレンジャーがピアノを弾けるようになるメリット

できればピアノを少しずつ練習していくのがオススメ。

コードの耳コピをするコツ

最初に曲のキーを見つける

最初にやるべき作業は、曲のキーを判別することだ。これは耳コピ初心者だろうが上級者だろうが同じ。曲のキーを知らないまま耳コピ作業をしても遠回りになる。かならず最初にキーを探し当てよう。

キーの判別方法は次の通り。曲を流しながら、各キーの「ドレミファソラシド」を弾いてみる。

  • 「ドレミファソラシド」(Cメジャースケール)
  • 「レミファ#ソラシド#レ」(Dメジャースケール)
  • 「ファソラシ♭ドレミファ」(Fメジャースケール)

いくつかスケール(音階)弾いているうちに、その曲で使われているのが「何メジャースケール」なのか分かるはず。たとえば、もしCメジャースケールがしっくり当てはまる曲なら、その曲のキーはCだ。

正しいスケールを弾かない限り、どこかで外れてしまう音が出てくる。全部で12キーしか無いのだから、いつかは探し当てられる。

なお、この方法は曲中のキーが一定であることが前提だ。曲中で転調していたり、一瞬だけ部分転調が起こっているような場合は、箇所ごとにキーを判別していく必要があるので注意しよう。

ダイアトニックコードを把握する

曲のキーが分かったら、そのキーのダイアトニックコードを確認する。当ブログの別記事に、ダイアトニックコードの一覧を用意したので参照してほしい。

詳細は上記の記事で解説しているが、ダイアトニックコードは、スケール内の音だけを組み合わせて作られている。必然的に、曲の中で出てくるコードの多くはダイアトニックコードになる。

言い換えると、変わった響きのコードなら非ダイアトニックコードである可能性が高いということだ。このことを知っていれば耳コピもしやすくなる。

ルート音を先に見つける

コードを耳コピする場合、コードのルート音が分かればその後もスムーズだ。探しているコードがダイアトニックコードなら、ルート音さえ分かれば即座にコードが判明する。そうではない場合も、ルート音さえ分かればいくつかに絞っていくことができる。

ルート音はベースの音を聴くことで判断できる。耳コピをするときは、低音がきちんと聴こえる環境で作業するとよい。大きな音が出せず、低音がよく聞こえない場合は、ヘッドホンを使おう。

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オンコードに気をつける

単純なダイアトニックコードだけではなく、オンコードが使われることもある。キーがCなら、次のようなコードがよく出てくる。

  • G/B、C/Eなどの転回型
  • F/G、Dm7/Gなどのドミナント代理系

特に変わった響きのコードではないのに、なぜかどのコードを当てはめてもしっくりこない……sus4のコードでもない……そんな場合は、オンコードの可能性がある。特にギターではオンコードが押さえづらいことも多く、盲点になりがちなので気をつけたい。

コードを度数で把握する

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今から書く内容は、耳コピのテクニックというよりも音楽を分析するためのテクニックなのだが、大事なことなのでぜひ知っておいてほしい。

実は、同じコードであっても、キーによってその機能は異なる。次のような例がわかりやすいだろう。

  • キーがCのときに出てくる「C」というコード → トニック
  • キーがFのときに出てくる「C」というコード → ドミナント

このように、同じ「C」というコードでも、キーによって異なる機能を持つ。コードネームのアルファベットだけではなく、そのコードがルートから数えて何番目のコードであるかを常に意識しよう。このクセを付けるだけで、コード進行への理解度は一気に深まる。

慣れてくると、楽器を持たなくても何番目(=何度)のコードなのか、聴いただけで分かるようになる。特にトニック(I:1度)、ドミナント(V7:5度)は分かりやすいので、普段音楽を聴くときも、意識して感じるようにするとよい。

音楽理論を学ぶ

以下のようなポイントについては、やはり音楽理論の知識があったほうが理解しやすい。

  • 使用可能なテンションノート
  • 借用和音の使い方
  • 自然に転調を行うための方法
  • ディミニッシュやオーギュメントの使い方

音楽なのだから、机で勉強するよりも曲をたくさんコピーして経験を積むほうが有効だ。しかし、ある程度経験を積んだら、その経験則を体系的に整理するために音楽理論書を読んでみるとよい。

コード方面の音楽理論をひと通り網羅できる名著があるので紹介する(大変残念なことに絶版となってしまったようだが……)。

初心者向けの本ではないが、この本に書かれている内容をマスターすれば、ポピュラー音楽の音楽理論で困ることはなくなるはず。再販に期待したいところだ。

他には、ギタリスト向けの本になるが、宮脇俊郎氏の著書はおすすめ。

ギター教則本業界の草分け的存在なだけあって、教え方が非常に分かりやすい。ビギナーの人でも安心して読めるだろう。