iPhoneのSuicaにポイント還元をする手順を解説
はじめに
iPhone7でSuicaをお得に使う方法は、以前の記事で紹介した。
上記の記事の通り、ビューカードからiPhoneのSuicaにチャージすればOK。ポイントが溜まる。
では、そのポイントをどのように還元すればよいのか。先日、初めてポイント還元を行ったが、簡単に手続きができた。今回はその手順について紹介する。
ポイントをSuicaに交換する
ビューカードでSuicaにチャージをするとポイントが溜まるが、そのポイントは、Suicaと交換できる(400ポイントでSuica1000円分)。これは実質、現金還元といえる。まずはこのことを覚えておこう。
ポイントをSuicaに交換する手続きは、「VIEW's NET」という、ビューカードユーザーのための会員制ページ内で行える。
VIEW's NETログイン(公式サイト)
ポイントを交換する手順は次の通り。
- VIEW's NETにログインし、「ポイント照会・プレゼント申込」をクリック
- 「モバイルSuicaにチャージ」をクリック
- 「交換口数」を入力する(1口は400ポイント=Suica1000円分)
- 「Suica識別ID」をフォームに入力する(確認用を含め計2回)
- 内容を確認し「次へ」をクリック。
- VIEW's NETのIDとパスワードを入力し、「申込」をクリック
このようにして、ポイント交換手続きが完了する。
交換手続きが完了すると、登録しているメールアドレス宛てに、交換申込受付完了の通知メールが届く。残高が反映されるのは、メールが届いた翌日以降。僕が実際に申込んだときも、残高の増加が確認できたのは申込みの翌日だった。
以下補足。
手順2の「モバイルSuicaにチャージ」について
iPhoneのSuicaは、厳密には「モバイルSuica」ではないが、チャージする手続き自体は、モバイルSuicaと同じようだ。
※iPhone以外は「メールアドレス」、iPhoneの場合は「Suica識別ID」を入力するよう記載あり
手順4の「Suica識別ID」について
「Suica識別ID」はiPhone内のSuicaアプリで確認できる。基本的には登録のメールアドレスがSuica識別IDとなるが、Suicaを複数枚発行している人は、末尾に「_1」等の文字が付く。
おわりに
カード式Suicaの場合、駅に設置されているATM「VIEW ALTTE」まで足を運ばなければ、ポイント還元を受けることはできない。しかし、iPhone等のスマートフォンでSuicaを使っている場合、ネットで申し込み手続きをするだけで、ポイント還元が簡単に完了する。実際にポイント還元手続きを行ってみて、これは大きなメリットだと感じた。
曲のコード進行を分析するメリット
このブログでは、コード進行の分析記事をいくつか書いてきた。
では、一体何のためにそんな分析をするのか。今回はコード進行を分析するメリットについて書いていく。
1. 音楽を深く理解できるようになる
コード進行を分析すると、音楽を深く理解できるようになる。
音楽のジャンルによって、よく使われるコードやコード進行には特徴がある。ジャズならメジャーセブンスなどの4和音や、テンションコードが多用される。ロックなら3度を抜いた和音(パワーコード)がよく出てくる。ブルースのコード進行はスリーコードで構成されることが多い。多くの曲を分析することで、こういった傾向が見えてくる。
さらに、ジャンルごとの傾向が分かってくると、
- ロックのリズムなのに、ジャズっぽい和音を使っている
- メタルっぽいサウンドなのに、クラシカルな和声をしている
このように定番のパターンからから外れたサウンドを聴いたとき、その"外し"に気づくこともできるだろう。コードやコード進行についての知識があれば、音楽への理解が深まるのは間違いない。
2. 曲を体系的に整理することができる
音楽の特徴を言葉で表現するのは難しい。ジャンルごとにカテゴライズしたり、かっこいい、きれい、明るい、といった抽象的な表現で形容したりすることが多いと思う。
しかしコード進行の知識があれば、音楽のジャンルにかかわらず、
- 「サビの頭がIV△7で始まる曲」
- 「ジャズ的なリハーモナイズがされている曲」
- 「曲中で何度も転調する曲」
このように、使われている楽器やサウンド感に惑わされることなく、曲を体系的に整理することができるようになる。これができると、ジャンルごとの区別に留まらない、その人独自のカテゴライズが可能になる。勉強のために音楽を聴くようなときに、非常に役に立つ。
3. 曲作りに役立てられる
インスピレーションを与えてくれる
何も考えずに普段通り作曲をしていると、手癖に影響されてしまい、使うコード進行やメロディが似通ってきてしまうことがある。
普段使わないようなコード進行で曲を作ってみると、思いもよらないメロディが出てきて予想外の良い結果につながることがある。
コード進行に限ったことではないが、曲作りのときに条件を固定することで、作業が捗るケースは多い。
コード進行の引き出しの多さが音楽性の豊かさにつながる
アレンジャーなら、間奏やイントロも考える必要がある。
ポピュラー音楽では、曲中のほぼ全ての部分に何らかのコードが存在する以上、コード進行の引き出しの多さは、音楽性の豊かさに直結すると言っても過言ではない。
どんなジャンルでもこなす必要がある職業アレンジャーならば、コード進行を分析して血肉にする作業はマストだろう。
フレーズを力技で生み出すことができる
コード進行の引き出しがあれば、フレーズ作りにも役に立つ。
スランプで何も浮かんでこないときでも、コード進行に導かれるように音を紡いでいけば、どうにかしてフレーズは生み出せる。特に仕事で音楽を作っている人なら是非習得しておきたいテクニックだ。
4. 音楽理論が習得しやすくなる
音楽理論とは、「既存の曲をいくつも分析して見えてきた共通点」を体系的にまとめたものだ。音楽理論ありきで音楽が作られているわけではないため、曲のコピーすらしたことがない人が理論書を手にとったところで、思うように頭に入ってこないだろう。
※音楽理論はあくまで帰納的な概念だということを忘れずに。
好きな曲のコード進行を分析した経験が多ければ、それらの実例と照らし合わせることができるため、音楽理論をイメージしやすくなる。
音楽理論を学ぶ前に、好きな曲のコード進行を数十曲程度、分析してみる。それだけで音楽理論(コード理論)が一気に習得しやすくなるはずだ。
おわりに
初学者の頃は、コード進行を分析しただけで音楽の全てを理解した気分になることがある。J-POPのヒット曲のコード進行はいくつかのパターンに収まることが多いので、その事実を知って落胆したことがある人もいるかもしれない。
しかし、コード進行というのは音楽の中のひとつの要素に過ぎない。
定番のコード進行をテンプレート的に用意して、その上にいい加減に音符を置いても良い曲にはならない。作曲では、いかにコード進行という背景の上で優れたメロディを奏でられるかが大事になってくる。これを作る能力やセンスが、作曲家としての価値そのものだと僕は考えている。
音楽を聴く際に、理論的な分析が先立つよりも、
- 「好きな曲を分析してみたら、他の曲と同じコード進行だった」
- 「曲がジャズっぽいとお客さんによく言われると思ったら、メジャーセブンスを多用していた」
このように、後づけの理論として音楽理論を捉えるようにするのが良い。
音楽をより楽しむための道具として、コード進行を分析してもらえれば嬉しい限りだ。
JASRACについての正しい知識と、現状のシステムの問題点について解説
はじめに
JASRACが大手音楽教室から著作権料を徴収する意向を示し、そのニュースが世間を騒がせている。人々の反応を見てみると、誤った知識に基づいたJASRAC批判を繰り広げている人が非常に多いと感じる。
しかし実際は、「JASRACが不当に利益を得ている」という単純な話ではなく、そもそも著作権使用料の分配システムに構造的な問題がある状態なのだ。
メジャーの作詞家や作曲家のほとんど全員が、JASRACを経由したお金を受け取っている。条件反射的にJASRAC批判をする前に、実際に何が起きているのかを知ってほしい。
前提となる正しい知識
著作権使用料の流れ
作曲家が曲を作り、めでたくCDがメジャーリリースされることになった。その場合、作曲家はどのようにしてお金を受け取るのだろうか?
メジャーリリースされた曲は音楽CDだけではなく、テレビ、ラジオ、コンサート、動画サイトなど、多くのメディアで使用される。CDがどこのショップで何枚売れているのか?自分の曲が、どのメディアでどのくらい使われているのか?
そういったことを作曲家が個人で調べるのは、現実的に考えて難しい。その作業を行うのが、JASRACという著作権管理団体だ。
作曲家が著作権使用料を受け取るまでの流れは、次のようになっている。
- 作曲家が音楽出版社に著作権を譲渡する。
- 音楽出版社がJASRACに著作権を信託する。
- JASRACがレコード会社や放送局、カラオケ業者、コンサートの主催者など、音楽の使用者から著作権使用料を徴収する。
- JASRACが音楽出版社に著作権使用料を分配する。分配額は、管理手数料(たとえばCDなら6%)を差し引いた残りの金額すべて。
- 音楽出版社が作曲家に著作権使用料を分配する。作曲家への分配額は音楽出版社と折半が一般的(作詞25%、作曲25%、出版社50%)。
三者の役割をまとめると、下記のようになる。
- 作曲家:曲を作っている。その対価としてお金を受け取っている。
- 音楽出版社:曲がさまざまなメディアで使用されて世の中に広まるよう努力をしている。曲のプロモーションをする対価としてお金を受け取っている。
- JASRAC:曲の使用状況を把握し、著作権使用料を音楽の使用者から徴収している。この管理業務の対価としてお金を受け取っている。
メジャー作曲家が利益を得るためには、現状、JASRACのような著作権管理団体の存在が必要になってくる。
曲を利用する障壁になるのは、JASRACではなく「著作権」
どんな曲にも著作権がある。これは何もメジャー作品に限ったことではない。
もしあなたがアマチュアミューシャンで、趣味で曲を作った場合でも、その曲には著作権が存在する。作者であるあなたの許可がない限り、友達がコンサートでカバー演奏することはできない。さもないと著作権(正確には、支分権の「演奏権」)の侵害になる。
このような「許可を取る」という作業を不要にし、面倒をなくすためのシステムが「JASRACへの著作権信託」だ。多くのライブハウスではメジャー楽曲のカバー演奏が自由に行えるが、これは楽曲の著作権がJASRACに信託されていて、かつライブハウスがJASRACに使用料を払ってるからこそ実現できること。
こういったシステムがあるおかげで、いちいち許可を取らなくても、誰でもカバー演奏が可能になっているのだ。
よくある誤解について
飲食店でJASRAC管理曲を演奏すると、店は不当に使用料を徴収される?
→ 不当ではない。そもそも営利目的の場合、人の曲を無断で演奏することは出来ない(著作権の侵害になる)。飲食店ではお客さんが料理や飲み物にお金を払っているため、非営利目的の演奏とはならない。実際ほとんどの(演奏ができる)飲食店は使用料を払っているので、払わないという店の判断が間違い。
JASRAC管理曲だと、道端で鼻歌を歌うだけでも使用料が取られる?
→ デマ。非営利目的の演奏は自由に行える(JASRACのサイトでも「鼻歌は自由に歌っていいです」とわざわざ説明されている)。
著作権のルールを知ろう!(参考:JASRAC公式サイト|PDF)
JASRACがネットのMIDI文化を奪った?
→ 著作物のWeb上へのアップロードは、非営利目的であっても認められていない(著作権の支分権である「公衆送信権」の侵害)。著作権法で禁止されているだけであって、JASRACの都合で禁止しているわけではない。
現状の著作権使用料徴収システムの問題点
では、何が問題なのか。
楽曲の使用状況が正確ではない
一番の問題はこれだと思っている。端的に表現すると、現在の著作権使用料徴収&分配のシステムは、少し「どんぶり勘定」なところがあるのだ。
例えば、音楽CDのように売上げが正確に計算できるものに関しては、著作権使用料を作曲家に正確に分配することは容易に行えるだろう。しかし、テレビやラジオで流れた分の金額が、きちんと分配されないという問題が指摘されている。
なぜこういったことが起きるかというと、「包括契約」に伴う「サンプリング報告」が原因だ。
まずは「包括契約」について。1曲ごとに使用料を計算していては、放送局にとってもJASRACにとっても手間が膨大になる。そのため「年間いくら」という形で、JASRACは放送局から包括的に使用料を徴収している。
次に「サンプリング報告」について。これは「特定のサンプリング期間における楽曲の使用状況から、年間の使用状況を割り出す」という方法だ。この方法を採用している理由もやはり、手間が膨大になるのを防ぐためだ。放送局のサンプリング報告をもとに、JASRACは使用料を計算する。
参考:放送(放送使用料が分配されるまで) JASRAC(公式サイト)
こういった状況のため、もし運悪くサンプリング期間中に曲が使用されなければ、いくら他の期間で曲が使われても、使用料が入ってくることはなくなってしまう。
放送局だけではなく、ライブハウスもサンプリング方式を取っている。このため、ライブで曲が演奏されていても、やはり作曲家に使用料が入らないケースが出てくる。
使用料が妥当なのか判断しづらい
ここでようやく、最近話題になっている「レッスン料の2.5%を、大手音楽教室から一律で徴収する」という話。
「そもそもレッスン料の2.5%は妥当なのか?」という話になってくるし、例えば著作権切れのクラシック曲ばかり題材にしているピアノ教室では、どう考えても徴収の対象にするのはおかしい。このあたりもやはり、手間の煩雑さを避けるための「どんぶり勘定」が問題になっていると感じる。
個人的な意見だが、音楽レッスンでは使用料は一切取らなくてもよいと思う。さすがに「営利目的の演奏」とするには無理がある気がするので。徴収するにしても、きちんと曲を使った分だけ逐一取る形式にして、クラシックのレッスンからは取らないようにするべきだろう。
JASRACサイドが改善できそうなこと
楽曲の使用状況を正確にする
サンプリング報告によってデータの不確実性が出てくるのだから、全曲報告が主流になるようにできないか、模索していくべきだろう。JASRACの公式サイトにも以下のような記述がある。実現すれば、各方面に良い影響があるのではないかと考える。
最新の技術を利用することにより全曲報告が以前に比べ少ない労力で可能になりつつあります
出典:放送(放送使用料が分配されるまで) JASRAC(公式サイト)
一般の人からも理解が得られるようイメージアップに務める
「作曲家からの不当な中間搾取で飯を食っている銭ゲバ組織」。JASRACに対して、そんなイメージを持っている人も多いと思う。もちろん、この記事で説明してきた通り、それは正しい理解ではない。
僕自身も、音楽の仕事をするまではあまり良いイメージは持っていなかった。しかし著作権の勉強をし、今ではその必要性をきちんと理解しているつもりだ。
おすすめの書籍
最後に、音楽著作権に関して非常に良く解説されている本を紹介する。
音楽著作権ビジネス全般についてわかりやすく丁寧に書かれている、素晴らしい一冊だ。JASRACや音楽出版社が何をしている組織なのかも、これを読めば理解できるだろう。少しボリュームがある本だが、イラスト(マンガ形式)や図も多く読みやすい。読み終えたときにはJASRACに対する見方も変わってくると思う。
最後に皆さん、ネットのまとめサイトに惑わされず、きちんとメディアリテラシーを持ってニュースを読み解いて行ってください。
Cubaseをさらに使いこなすためのショートカットキー(上級者向け)
Cubaseのショートカットキーについては今までにも2回ほど紹介してきた。
今回は上級者向けということで、僕が普段使っているオリジナルのショートカットキーについて紹介する。
- オリジナルのショートカットキーを考える際のポイント
- ショートカットキーの設定方法
- ショートカットキーの紹介
- トラックの操作関連
- トラックの表示関連
- ファイルの書き出し関連
- オーディオ関連
- MIDI操作関連
- 最後に
オリジナルのショートカットキーを考える際のポイント
なるべく左手だけで完結させる
DAWの操作にはトラックボール(マウス)が絶対必要なので、右手は常にトラックボールの位置に置いてあると思う。したがって、左手だけでショートカットキーを完結させたほうが素早い操作が可能になる。
ショートカットの由来を考えておく
たとえば、デフォルトのショートカットキーはこのような意味付けがされている。
- 「Ctrl + S」(保存) → 「Save」の頭文字が由来
- 「Ctrl + C」(コピー)→ 「Copy」の頭文字が由来
自作のショートカットキーを考えるときも、このような意味付けをしておくと覚えやすい。
ショートカットキーの設定方法
今回紹介するショートカットキーの多くは、デフォルトではキー設定が割り当てられていない。使うためには自分でショートカットキーを考えて割り当てる必要がある。
※ショートカットキーの設定は、上部メニューバーの「ファイル>キーボードショートカット」から可能。
ショートカットキーの設定画面を見てみる。
ショートカットキーは次のように設定する。
- 左側の一覧よりコマンドを探す(検索フォームも活用)
- ショートカットキーに割り当てたい操作を選択する
- 自分で考えたショートカットキーを入力し、「適用」をクリックする
上部のフォームよりショートカットキーに割当て可能な操作が検索できる。これを活用すれば、目的の操作にたどり着けるだろう。
ショートカットキーの紹介
それではショートカットキーを紹介していく。なぜそのショートカットキーに設定したかの由来を一緒にカッコ内に表記しておくので、覚える際には参考にしてほしい。該当の操作が含まれているフォルダも記載しておく。
- Macの人は、「Ctrl → Command」、「Alt → Option」と読み替えてください。
- 今回のショートカットキーの操作については、Cubase 8.5で確認しています。
トラックの操作関連
トラックの追加関連
- オーディオ(モノ)トラックの挿入:Alt + A(Audio)
- インストゥルメントトラックの挿入:Alt + Q(特になし)
- FXチャンネルの挿入:Alt + E(Effect)
- グループバスの挿入:Alt + G(Group)
※「トラックを追加」フォルダ内で設定可能
トラックの追加操作については、よく使うものをまとめてショートカットキーに割り当てると便利。
トラックの削除・コピー
- 選択トラックを削除:Alt + D(Delete)
- トラックを複製:Alt + C(Copy)
※「プロジェクト」フォルダ内で設定可能
トラックの表示関連
選択したトラックの高さを縮小/拡大
- トラックを縮小表示:Shift + D
- トラックを拡大表示:Shift + Space
※「ズーム」フォルダ内で設定可能
「Z」で選択トラックを拡大表示できることは、以前も紹介した。その状態からさらに縮小/拡大したいときに便利。オーディオ録音の際など、波形を確認したいときに活用しよう。
ショートカットキーの由来は特にないが、左手だけで操作できるようにしてある。
ファイルの書き出し関連
wavファイルを書き出す
- オーディオミックスダウン書き出し:Alt + T(Track Down)
※「ファイル」フォルダ内で設定可能
よく使うので、ショートカットキーを作っておくと便利。
オーディオ関連
オーディオトラックに入力されている信号を確認する
- モニタリング:0(テンキー)
※「編集」フォルダ内で設定可能
モニタリングのオン/オフを切り替えることができる。モニタリングがオンだと、オーディオトラックに入力されている信号を、インサートエフェクトを通過した状態で聴くことができる。オーディオ録音をするときに活用すると便利。
MIDI操作関連
クオンタイズの細かさを切り替える
- 前のクオンタイズを選択:W
- 次のクオンタイズを選択:E
※「クオンタイズカテゴリー」フォルダ内で設定可能
クオンタイズの細かさを、「4分 - 8分 - 16分」といった具合に切り替えられる。ショートカットキーの由来は特にないが、左手で押すことができて、となり合っているキーを選んだ。
ノートの長さをクオンタイズ
- MIDIイベントの長さをクオンタイズ:Shift + Q(Quantize)
※「クオンタイズカテゴリー」フォルダ内で設定可能
選択されているノートの長さがクオンタイズされる。音価を機械的に揃えたいときに便利。
ノートを指定の長さに変更
- 設定した長さに変更:Shift + A
※「MIDI」フォルダ内で設定可能
選択されているノートが、強制的に指定された長さに変わる。ドラムの打ち込みなど、音価が関係ないパートの打ち込みで使うと便利。
ノートのベロシティを一括で指定値に変更
- 設定したベロシティに変更:Shift + V(Velocity)
※「MIDI」フォルダ内で設定可能
選択されているノートのベロシティが、一括で指定値に変更される。指定値とは、「挿入時ベロシティ」のこと(キーエディタ内で設定可)。
鉛筆ツールで入力できるノートの長さを設定
- 1/8:Alt + 1
- 1/16:Alt + 2
- 1/32:Alt + 3
- 1/64:Alt + 4
※「挿入ノート長の設定」フォルダ内で設定可能
それぞれ、8分音符~64分音符となっている。
Finale等の譜面ソフトでは別の割り当てがされているので混乱するかもしれないが、左手だけでAltキーと一緒に押さえることを想定し、この組み合わせになった。
最も汎用性が高いと思われる8分音符を、一番わかりやすい「1」に設定した。以下、数字が大きくなるごとに細かい音符になっていく。
8分音符よりも長いノートを入力する場合は、ドラッグして伸ばしてやればよい。「(分解能の)大は小を兼ねる」というイメージだ。
最後に
今回紹介したショートカットキーは、あくまでいちユーザーの使用例にすぎない。
Cubaseでは、ここで書ききれないくらいの様々な操作を、キーボードショートカットに割り当てることができる。創意工夫を凝らし、ショートカットキーを上手く使いこなしてみてほしい。
スティーヴィー・ワンダー「Overjoyed」で学ぶ、美しい転調術
曲について
スティーヴィー・ワンダーのヒット曲「Overjoyed」は、美しくグラデーションした色彩を思わせるかのような、滑らかな転調が心地よい名曲だ。
転調をスムーズに聴かせるためのテクニックが、無理なく自然に散りばめられている。今回はこの名曲を題材に、スムーズな転調方法について学んでいきたい。
Stevie Wonder Overjoyed - YouTube
基本的にはKey = E♭で曲が進んでいきます。
※コード進行は耳コピで採譜したものになっています。
イントロ(Key = E♭)
| Db6 C7 | BM7 C7+11,-13 |
| Db6 C7 | BM7 Bb7 |
イントロから非ダイアトニックコードの連発。Db6は同主調からの借用和音だ(Bbm/Dbの転回形とも解釈できるが、いずれにせよ借用和音)。
C7はダイアトニックコードではないが、このVI7というコードはよく出てくるので違和感はないだろう。ここでは次のコードへのドミナント7thという役割になっている(半音下へ解決する)。
BM7はディグリー表記だとVIbM7。これも頻出の借用和音だ。
2小節目の3・4拍目のC7には、#11thとb13thのオルタードテンションを表記した。全体の響きというよりも、ピアノのフレーズがこれらの音をなぞっているという意味合いだ。このため一瞬だけホールトーンスケール的な雰囲気になり、不思議な印象を演出するのに一役買っている。
ちなみに、イントロで出てくるコードには、どれも構成音にBb音が含まれている。これがペダルポイントとなりコードが展開されていくのがこのセクションの特徴といえる。
4小節目の3・4拍目でようやく、ダイアトニックコードであるBb7が出てくる。これはトニックへ解決するためのドミナントコードだ。
ヴァース(Key = E♭、部分的にKey = C)
| Eb | Cm7 | Fm7 | Bb7 |
| Eb | Cm7 | F/A | G/B |
| C | G/B | Cm7 F7 | Bb7 |
| Eb | Cm7 | Fm7 | Bb7 |
| Eb | Cm7 | F/A | G/B |
| C | G/B | Cm7 F7 | Bb7(9) |
ヴァース(いわゆるAメロ)のコード進行を見ていく。1~4小節目は「1625(イチ・ロク・ニー・ゴー)」と呼ばれるようなごく一般的なコード進行だ。
5小節目からも同じように進んでいく…と思わせつつ、7小節目にはダイアトニックコードではないF/Aが出てくる。とはいえ、Fm7と比べて構成音が近いため違和感なく聴けるだろう。
しかしこのコードをきっかけに、次にG/Bと来て、その後Cへ解決する。後から振り返ってみると、ここからKey = Cに部分転調していることがわかるだろう。
F→G→Cという基本的なケーデンス(終止形)になっているため、展開が極めて自然。また、転調前のキー(Eb)はCキーから見ると同主調になるため、このことも自然な転調を演出する要因となっている。
11小節目のCm7をきっかけに、Key = Ebに戻っていく。その前のG/BがCm7に対してのドミナントコードになっているため、違和感なくつながっている。
13小節目からはそれまでの繰り返し。その後コーラス部分へと突入する。
コーラス(Key = E♭、部分的にKey = F)
| AbM7 | Eb/G |
| Fm7 Bb7 | Db6 C7 |
| BbM7 | F/A Bb7/Ab | Fm7 | Fm7/Bb |
コーラス(いわゆるサビ)部分のコード進行だ。IVM7から下がって行くごく普通のコード進行…と思わせつつも、4小節目で借用和音のDb6が登場し、その後C7と進む。
実はこれ、イントロで出てきたのと同じコード進行なのだ。伏線を回収しているかのような展開が実に見事。
5小節目のBbM7からKey = Fに部分転調する。直前のC7がキーFにとってのV7(ドミナント)になっているので、V→IVという進行ではあるが比較的自然に転調できている。Key = Fに部分転調した状態で、同じメロディが同じコード進行上で演奏されている。
6小節目の3・4拍目のBb7/Abをきっかけに、キーがEbに戻っていく。
2番コーラスの終わり(7小節目~;Key = E♭)
| Fm7 | Fm7/Bb | Gm7/C | C7 |
2番コーラスの7小節目からの部分だ。9小節目は本来はEbに解決するところだが、代わりにGm7/Cになっている。Cm7の代理コードという解釈もできるかもしれない。
ここからの2小節が、次のセクションのKey = Fに対して、V7(ドミナント)の役割になっているのがポイント。
10小節目ではGm7/C → C7へと変化し、より次へのコードへの進行感が高まっている。
ラストコーラス(Key = F、部分的にKey = G)
| BbM7 | F/A |
| Gm7 C7 | Eb6 D7 |
| CM7 | G/B C7/Bb | Gm7 | Gm7/C |
ラストのコーラスでは、セクション全体のキーが2つ上がり、Key = Fの状態になっている。
ただ前述の通り、1番のコーラスでも途中で+2だけ部分転調しているため、「BbM7 → F/A」という進行はすでに登場している。そのため、言われなければキーが上がっていることに気づかない人も多いだろう。
しかし、5小節目にCM7というコードが出てきて、セクション全体のキーが高くなっていることにリスナーは気づく。5小節目からはKey = Gに部分転調しているのだ。小説の叙述トリックを思わせるかのような見事な構造だ。楽曲的にも歌唱的にも、まさにクライマックスといってよいだろう。
ここも6小節目の3・4拍目のC7/Bbをきっかけに、やはりキーがFへと戻っていく。
エンディング(Key = F、終わりはKey = E♭)
| F | GbM7 FM7 |
| EM7 | Bb7/F Bb7 | Eb |
歌も続いているが、ここから曲のエンディング部分と解釈する。2小節目のGbM7はサブドミナントマイナーの代理コード(IIbM7はまれに出てくる)。
その後メジャーセブンスのまま平行移動していく。EM7で1小節引っ張るが、この時点でキーがEbになっていると考えてもよいだろう(キーがEbにとってのIIbM7と解釈できる)。
その後、ドミナント7thであるBb7/Fへと進行し、Ebで終了。ラストコーラスでキーが上がったにもかかわらず、スタート時と同じEbキーで曲を終わらせているあたりに、こだわりを感じる。
最後に
全く同じメロディが、3つのキーで演奏される。Overjoyedは、そんなユニークさを持つ曲だ。
スティーヴィー・ワンダーは、「コーラス部分を何回か転調させて盛り上げる」という手法を取ることがある(「I Just Called to Say I Love You」、「Ribbon in the Sky」などの曲)。
しかしこのOverjoyedでは、セクションの途中で部分転調したときにそれをやっている。これにより、単純にセクションの繰り返し時にキーを変えるだけでは生み出せない、楽曲の独自性が生まれているのだ。
歌ものポップスの制作で役に立つ、おすすめのプラグインエフェクト18選
ポップスやロック等、ポピュラー音楽全般を対象としている。僕が実際に制作で使用しているプラグインでおすすめできるものを紹介していく。
EQ編
僕は基本的に、次のようなイメージでEQを使っている。
- アナログ系EQ → 帯域をブーストしたり、音のキャラクターを付加する用途
- デジタル系EQ → いらない帯域を削る用途
アナログEQでは、大幅にブーストしてもいい感じのサウンドになってくれる(実機だとよりわかりやすい)。しかし、Q幅が固定だったりするのでカットにはあまり向かない。
デジタルEQでは、Q幅を自在にコントロールしてピンポイントで帯域を削ることができるし、HPFの傾きも変えられる。しかし、大幅にブーストすると変な音になりやすい。
アナログEQとデジタルEQにはそれぞれこういった特性があるので、それぞれの長所をいいとこ取りして使うようにするのがよい。
それではプラグインの紹介。
「メーカー名: プラグイン名」というという書き方で紹介します。
Slate Digital: FG-N
Neve 1073はアナログEQの代表的な存在。多くのメーカーが1073をエミュレートしたプラグインを出している。Slate Digital社の1073エミュレート「FG-N」は、プラグインの1073の中では出音が良くオススメできる。同社の「Virtual Mix Rack」に収録されているプラグインだ。
Waves: PuigTec EQP-1A
PultecのEQP-1AもアナログEQでは定番。真空管回路特有の倍音付加がある。
多くのWavesバンドルに含まれているプラグインなので気軽に試すことができるだろう。
FabFilter: Pro-Q
FabFilterのデジタルEQ。Q幅の調整、HPFのカーブの勾配の変更、リニアフェイズモードへの切り替え、いずれも簡単に行える。
スペアナ付きのEQなので、飛び出している帯域を視覚的に確認することができる。これが非常に強力。ミックスが苦手な人には特におすすめ。
負荷も軽く、余計な色付けもない。とても使い勝手がよいので、文句なしにオススメできる一品。
コンプレッサー編
Slate Digital: FG-116
コンプレッサーの定番は何と言ってもUrei 1176。どんな設定でも音楽的な音になることから、ロックやポップスの世界では長きにわたって定番コンプとして活躍してきた。アタックタイムの速さと、FET回路による奇数倍音の付加が特徴。
多くのメーカーが1176を再現したプラグインをリリースしているが、僕のオススメは、倍音の付き方が心地よいSlate Digital社のFG-116だ。こちらも「Virtual Mix Rack」に収録されている。
Softube: CL 1B
TUBE-TECHのCL1Bは定番の光学式コンプ。増幅回路で真空管を通るため、偶数倍音の付加が特徴。1176等と比べて緩やかなかかり方をするため、ボーカルのかけ録りで使われることが多い。
SoftubeのCL 1Bは実機に負けないくらいの高いクオリティを誇る。光学式コンプのファーストチョイスとしてオススメの一品。
Waves: CLA-2A
Teletronix LA-2Aも光学式コンプ。アタックタイムやリリースタイムが固定なので、難しいことを考えずに使うことができる。
WavesのCLA-2Aは、このLA-2Aを再現したプラグインだ。倍音の付加は控えめ。軽いので気軽に挿すことができる。
Slate Digital: VBC
Slate Digitalのバスコンプ3種が含まれるプラグイン(画像は「FG-MU」)。マスター用のバスコンプというのはプラグインで良い効果を出すのが難しい部分だが、VBCはかなりクオリティが高い。プラグインが実機に追いつくもの時間の問題と思わせてくれる一品。
Waves: C1 Compressor
Wavesのデジタルコンプ。今まで紹介してきたコンプはいずれも実機のアナログコンプを再現したものなので、挿すだけで倍音の付加による音質の変化が起こってしまう。
しかし、C1はデジタルコンプなので、色付けがなく純粋に音量だけが変わってくれる。アタックタイムやリリースタイム、レシオなども自由に設定できる。
これらのことから、C1はサイドチェインでコンプを使いたいときに便利。
リミッター編
FabFilter: Pro-L
マスター用のリミッターはいくつも試してきたが、FabFilterのPro-Lが一番優秀。
色付けが少なく、2mixの音像を損なうことなく音を大きくしてくれる。どんな音楽にもそつなく対応してくれる素晴らしいリミッターだ。
かなり大幅にリダクションしても破綻せずに音圧を上げることができる。他のリミッターだと音像が崩れてしまうようなレベルまで追い込めるので、音圧の高いマスタリングをやりたい人にもオススメできる。
Sonnnox Oxford: Limiter
こちらも色付けが少なく使い勝手のよいリミッター。インターサンプルピークの除去や、サチュレーションの付加ができるので、マスターで他のリミッターと併用するのもよい。
Sonnox Oxford Mastering Native
Waves: L1
Wavesのリミッター。L2、L3の元になったモデル。後発製品と比較してパンチのある歪み方をしてくれるので、マスターでは使わずにトラックやバスで使っている。
テープシミュ、サチュレーター編
Slate Digital: VTM
テープシミュレーター。派手に歪む感じではなく、上品にかかってくれる。
実機を思わせるようなクオリティの高さで、マスターでの使用も可能。Nativeのプラグインでテープシミュを探すならこれで決まり。
Waves: Kramer Master Tape
FLUXつまみを上げると割と派手に歪んでくれるので、意図的にサチュレーションをかけたい場合に便利。
Sonnnox: Oxford Inflator
元のトラックの質感を変えることなく、クリアに倍音を足して音抜けを良くしてくれる。どの楽器にでも使いやすく重宝する。
空間系、モジュレーション系エフェクト編
Lexicon: PCM Native Reverb
初めてこれを使ったときの感動は忘れられない。アルゴリズミック・リバーブとしては、圧倒的なクオリティの高さを誇る。負荷もそれほど高くない。これさえあればリバーブで困ることはないはず。
Waves: H-Delay
アナログディレイっぽい質感。GUIがわかりやすいので、ディレイタイムやフィルターの設定なども手軽。使い勝手がよく便利。
Waves: Doubler
ダブリングをしてくれるプラグイン。仕組みは単なるショートディレイだが、遅らせた音のピッチをずらしたり(Detune)、揺らしたりできる。
その他
Waves: PAZ Analyzer
スペアナがついていて帯域のバランスがわかる他、ステレオ幅やRMSレベル等を確認できる。マスターに挿して使うと便利だ。
さいごに
プラグインの世界は日進月歩。メーカー名にとらわれず、まずは出したい音や使う目的を明確にイメージする。それを実現するのに最も良いものは何かを考えた上で、プラグインを選ぶのがよいと思います。買う前に必ずデモを試しましょう。
最強のベース音源、Trilianを徹底解剖(デモ音源あり)
はじめに
TrilianはSpectrasonics社からリリースされているベース音源だ。
前身のベース音源Trilogyも評価が高かったが、Trilianはそれを更にパワーアップさせたものとなっている。2009年の発売以来、定番ベース音源として確かな地位を確立してきた。現在もプロ/アマ問わず愛用者は多い。
長所は大容量サンプルのおかげで音色がリアルなところ。ラウンドロビン対応で、同音連打するようなフレーズでも機械的になりづらい。
弱点はスライドの自由度が低いところ。スライドを多用するような演奏の再現は難しい。
Spectrasonics社の製品は基本的に日本語マニュアルがない。オンラインヘルプがあるが、全て英語になっている。同社のソフトはどれもマニュアルを読まなくても使えるような設計になっているが、僕自身せっかく長年愛用してきたのだから、持っている知識を備忘録的に記事にすることにした。
SSDの使用を推奨
エレキベースやウッドベースはパッチが重く1GBを超える。ロードを速くするためにも、サンプルはSSDに入れて使うことをおすすめする。
ちなみに、Spectrasonicsの製品はライブラリの移動を簡単に行える。もしHDDからSSDに移行したいような人でも、再インストール不要で手間がかからな い。
Media Integrationのサイトで具体的な方法が説明されているので、紹介しておく。
Spectrasonicsライブラリフォルダ(SAGE/STEAM)の移動方法(代理店サイト)
音色を使う際のポイント
エレキベースやウッドベース
エレキベースやウッドベースではスライドやグリスダウンなどの奏法も駆使するので、キースイッチでパッチを切り替えられるよう、「マルチ」のプリセットを選ぶと良い。画面上部の黄色い背景部分(赤枠)から、マルチが選択できる。
※Trilianでは、「パッチ」の集合体を「マルチ」と呼ぶ。
キースイッチではパッチを切り替えられる。よく使うのはGliss UpやStaccato、X-Notes(ゴーストノート)などだろう。
逆にハーモニクスあたりはあまり使わないかもしれない。あまり使わないパッチがあれば削除してもいいし、パッチの選択画面から「FX Slides」などの汎用性の高いパッチに変えてしまうのも良い。
パッチを切り替える場合は、上部1~8のスロットを選択した状態で、TRILIANというロゴの下の、背景が黒い部分(上の画像の青枠)をクリックしよう。ここからパッチの変更ができる。
デフォルトのプリセットでは、内蔵エフェクトが各パッチ個別にかかっている。CPU負荷も高くなってしまうので、必要なければエフェクトは削除しても問題ないと思う(僕はEQやコンプはDAWでまとめて掛けている)。
シンセベース
シンセベースに関してはマルチのプリセットがないので、普通にパッチを選んで使用すればよい。サウンドソースから波形を選択し、自分でフィルターをかけて…と音作りしていくこともできる。
メイン画面の見方
左側のツマミから見ていく。
- AMP: アンプの音
- PICKUP: ラインの音
- RELEASE: 音が途切れる際の(指やピックの)リリースノイズ
- VELOCITY: ベロシティの感度(値が大きいほど強弱がつけやすくなる)
- LEGATO: 後述のハンマリング/プリングを有効にするかどうか
実際のエレキベースのレコーディングでは、DI直の音とベースアンプをマイクで拾った音を両方録音しておいて、ミックスダウンのときに両方とも鳴らすことが多い。ここではそれらの比率を決めることができる。出したい音に応じて変えるのがよいが、基本的には半々ぐらいで混ぜておけば大丈夫だと思う。
ただし、もしプラグインのアンプシミュレーターを別途通す場合は、DI直の音のみになるよう「AMP」のツマミは最小にしておこう。
その他のツマミは、デフォルトでかかっているエフェクトのパラメーターと連動している。このあたりは選択するパッチによっても変わってくるので、エフェクト画面と照らし合わせて確認するとよいだろう。
使い勝手の良いパッチ
主にエレキベースを中心に紹介していく。ドラムとベースだけの、簡単な音源サンプルも用意した。Trilianの内蔵エフェクトはすべて外し、ベーストラックにはDAW上でEQやコンプ等をかけている。
Clean Fender Keyswitch Open
ジャズベースの指弾きの音。ポップスやファンク、R&Bなど、様々な音楽で使える音色だ。ミュートの音が必要なければOpenを選んでしまってOKだろう。
サンプルのアタックが遅いので、スタート位置を遅らせる(サンプルの頭を切る)とよい。
Rock P-Bass Pick Keyswitch Open
プレシジョンベース(プレベ)のピック弾きの音。ロック系の曲には打ってつけ。「Open」なしのプリセットだと、ブリッジミュートの音も出せる。
Studio Bass Keyswitch
Musicman StingRayの音。輪郭のはっきりした音なので、ベースラインがきちんと聴こえる。
Studio Slap Keyswitch
スラップの音。こちらもStingRay。TrilianはStingRayの充実度がやたら高い。スラップならこれで決まり。
Trilian Acoustic 1 Keyswitch
ウッドベースの音。3GB以上ある激重パッチだが音は良い。
TR-Minimoog(自作パッチ)
シンセベースは種類がたくさんあるが、やはりMinimoogあたりが使いやすい。上記サンプルの音色は、まずパッチを初期化し、サウンドソースから波形を選択してフィルターをかけて作っている。波形はレイヤーAでは「TR-Minimoog Saws wide 2OSC」、レイヤーBでは 「TR-Minimoog Triangle」を選び、同じくらいの音量バランスで混ぜている。
覚えておくと便利なTips
- 音が切れる前に次の音を入力すると、ハンマリング(プリング)になる(音程が半音 or 全音のとき)。
- サスティンペダルを踏みながら入力すると、モノフォニックになる&音が途切れなくな る(「EDIT」ページ内の「SUS」が「2」のとき。これはデフォルト設定)。これによりルート弾きフレーズでも、MIDIキーボードでリアルタイム入力がしやすくなる。
歌ものポップスの制作で役に立つ、おすすめのソフトシンセ・ソフト音源16選
※2019年9月14日:記事をアップデート
広い意味で「歌ものポップス」の制作を想定している。生音系の曲はもちろん、ロックやダンス寄りの曲でも対応可能だ。
僕が実際に音楽制作でよく使っているソフトシンセやソフト音源で、おすすめできるものを紹介していく。
※ギターはやはり生録音がベストなので、割愛する。
「メーカー名: 製品名」という書き方で紹介します。
ドラム編
FXpansion: BFD
リアルなドラムを目指すならこれ。大容量音源なのでサンプルの質感が非常に生々しい。ロードに少し時間がかかるが、HDDでも問題なく使えるレベル。拡張音源も揃えるとよい(オススメはPlatinum Sampleシリーズ)。
XLN Audio: Addictive Drums
ドラム音源のベストセラー、Addictive Drums。生ドラムよりも少しデフォルメ気味で、元気が良い音なのが特徴。容量も小さく、動作が軽いのに出音が良い。ある程度ピーク処理がされているので、ミックスが苦手な人でも使いやすいはず。
Native Instruments: Battery
ドラム用のサンプラー。KOMPLETEに収録されている。NIの製品の中ではKontaktやMassiveに比べて影が薄いかもしれないが、ダンス系の打ち込みドラムを鳴らすための必需品だ。プロの愛用者も多い。
付属のサンプルもそこそこ使えるが、サンプラーなので自前のサンプルを読み込んで使うのが本来の使い方(VengeanceやSample Magicのサンプルパックがおすすめ)。
Spectrasonics: Stylus RMX
ループのリズムを鳴らすソフト。ブレイクビーツがたくさん収録されている。メインのリズムの裏で鳴らして使うことが多いが、サンプルの質が高いので、メインのリズムとして使うのもよい。
タンバリン、シェイカーなど、生系パーカッションのループも入っているため、ポップスのアレンジでは非常に重宝する。
ベース編
Spectrasonics: Trilian
エレキベース、ウッドベース、シンセベース、いずれも収録されている。サンプルも高品質で使い勝手も良い。ベース音源のファーストチョイスはこれだろう。重いのでSSDに入れて使いたいところ。
Scarbee: Jay-Bass
Scarbeeのベースは、Trilianよりもスライドの自由度が高いのが特徴。指弾きとスラップを切り替えられるので、ファンク的な曲には打ってつけ。
この音源は、Native Instrumentsが取り扱っている。KOMPLETE ULTIMATEにも収録されている。
ピアノ/エレピ編
Synthogy: Ivory
「スタジオで録音した生のグランドピアノの代替品」としてはやはりIvoryがベストだと感じている。
大容量音源なので、SSDに入れて使うことを強くおすすめする。
Spectrasonics: Keyscape
エレピ音源はKeyscapeが最高だ。ローズ、ウーリッツァー、DX7系、どれも即戦力。
こちらも容量が大きいので、サンプルはSSDに置いておきたい。
シンセ編
Spectrasonics: Omnisphere
膨大な数のプリセットが含まれたモンスターシンセ。シンセ系の音色なら、これ一つであらゆる音色を網羅できる。とはいえ、前身のAtmosphereからの流れもあってか、やはり良質なシンセパッドが数多く入っているのが魅力。
国産のハードシンセほどではないものの、プリセットは即戦力の音が多く、ソフトシンセとは思えないような使い勝手の良さを誇る。
この音源も、ロード時間の短縮のためにSSDに入れて使いたい。
Native Instruments: Massive
KOMPLETEに収録されている。EDM等で使われるような派手なシンセベースを作るのには必須。リード、ベース向け。
LennarDigital: Sylenth1
出音が非常に良く、音楽的で心地よい。こちらもEDMでは定番。プラックやリード、パッド等の上モノパートに向いている。
Arturia: Mini V, Prophet V
それぞれMinimoogとProphet-5を再現している。Arturiaは他にもアナログシンセのシミュレートをしたソフトを出しているが、この2つが使いやすいだろう。Mini Vはリードやベース、Prophetはパッドやシーケンスでよく使う。
マルチ音源編
Steinberg: HALion(HALion Sonic)
使いやすい音が揃っている。初代HALion Sonicの頃は音色不足が気になったが、現在のHALion 6(HALion Sonic 3)では音色の数もだいぶ増えて、非常な強力なマルチ音源になった。ロードも速く、Steinberg製品らしい安定動作も魅力。ソフトのマルチ音源の中では、最もオススメできる製品だ。
なお、HALion 6を買えばHALion Sonic 3も付属してくる。HALion6のほうが上位互換にあたるので、HALion 6を買ってしまえばOK。※細かいエディットをしない人なら、HALion Sonic 3の方で問題ない。
Native Instruments: Kontakt
正確にはサンプラーだが、このカテゴリで紹介する。ソフトサンプラーをリリースしているメーカーはいくつかあるが、デファクトスタンダードになっているのが、NIのKontaktだ。
Kontaktエンジンで鳴らすサードパーティの音源も多いので、ぜひ持っておくべきだろう。もちろんサンプラーとしても使うことができる。付属音源もそこそこ高品質で、ひと通りの楽器は網羅している。オーケストラ音色には、VSLの簡易版がついている。
ストリングス編
Vienna Symphonic Library: Chamber Strings
生の弦の代用として申し分ない音源は、残念ながら存在しない。ポップスでは立ち上がりの速さや音抜けの良さが大事なので、ViennaのChamber Stringsがベストだと僕は考えている。
実際に生の弦を録るときも、ポップスでは6型(6422)が多いので、この音源を使えば人数感のイメージもしやすい。
ディビジが出来ない、1stと2ndが分かれていない、ベロシティレイヤーの切り替わるポイントで音が急激に変わるなど、課題も多い。Viennaエンジンが非常に優秀なので、上手くエディットして使っている。
比較対象はLA Scoring Stringsあたりだろう。こちらもクオリティが高いが、エンジンの使い勝手の良さとピッチの正確さを優先し、僕はViennaを使っている。
※詳細記事を書きました
ブラス編
Sample Modeling / Audio Modeling: The Trumpet, The Trombone, The Saxophones
金管楽器はいろいろ試したが、Sample Modelingシリーズが最も良い。
物理モデリング音源なので、エクスプレッションの値に応じて音色が変わってくれるのが魅力的。実際の管楽器はダイナミックレンジが非常に大きいため、従来の音源では音量変化にともなう音質変化を再現するのが難しかったが、Sample Modelingならリアルなブラスを作ることができる。
音色はドライなので残響は自分で足していくことになる。良いリバーブが欲しいところ。
ギルバート・オサリバン「Alone Again」のコード進行を徹底分析 ~哀愁を誘うオルタードテンション・♭9th~
はじめに
音楽理論に詳しくなってくると、コード進行を工夫して曲を作りたくなってくるものだ。
しかし、複雑なコード進行と楽曲のキャッチーさを両立するのは難しい。コード進行に凝ってみたものの音楽的に不自然になってしまい、結局シンプルな進行に戻す…という経験をしたことがある人もいるはず。
ギルバート・オサリバン(Gilbert O'sullivan)の「Alone Again (Naturally)」は複雑なコード進行にも関わらず、楽曲展開がスムーズで自然。流れるようなメロディと複雑なコード進行が見事に調和した名曲だ。
今回はこの曲のコード進行を解析していく。
イントロ(Key = Gb)
| GbM7 Gb6 | Bbm7 Bbm7(11) |
| Abm7 Db7-9 | Gb |
最初の1、2小節目は共に、F~Ebというトップノートのラインを聴かせているが、それに応じてコード表記も変わっている。
3小節目は定番のツーファイブ進行。3~4拍目のドミナント7thコードには♭9thという
テンションが付加されている。♭9thはオルタードテンションの中では最もよく登場するものだ。
Aメロ(Key = Gb)
| GbM7 Gb6 | Bbm7 Bbm7(11) |
| Dbm7 | Bbm7-5 Eb7-9 |
| Abm7 | Abm7-5 |
| Gb Gbaug | Gb6 F7 |
Aメロと言っても、ここが最も印象的なセクションなので、実質サビ(コーラス)という位置づけだろう。
1~2小節目まではイントロでも出てきた普通の進行。
3小節目でいきなりDbm7。ディグリー表記だとVm7になる。これはダイアトニックコードではないが、同主調からの借用和音(準固有和音)で、しばしば登場する。
※過去の記事でも説明しているが、「Key= Gbの曲では、Key= Gbmのダイアトニックコードも使える」ということを覚えておこう。
4小節目からのツーファイブは、Bbm7-5と5度がフラットしている。次のAbm7につながるよう、ここから「Key=Abm」に部分転調していると解釈できる。
6小節目のAbm7-5は、5小節目から少し構成音を変える形で進行してるが、これは前述の借用和音だ。
7小節目からはトニックの和音がクリシェ的な変化をする。5度の音が半音ずつ上がっていくという「上昇クリシェ」で、しばしば登場するパターンだ。
8小節目の3~4拍目はF7という、ダイアトニックコードでも借用和音でもないコードが出てくる。ディクリー表記だとVII7。あまり馴染み深くないかもしれないが、これは次のコードに対するドミナント7thコード。ここと次の小節だけBbmに部分転調していると解釈するのがよいだろう。
Bメロ(Key = Gb)
| Bbm7 | Bbm7-5/Db Eb7-9 |
| Abm7 | Abm7-5 |
| GbM7 Gb6 | Bbm7 Eb7(9) |
| Abm7 Db7-9 | Gb |
特に明確な区切りがあるわけではないが、便宜上ここからBメロとしている。
2小節目はやはり次のAbm7に向けたツーファイブ進行。
5小節目からの部分はAメロの冒頭でも出てきた進行に近い進行だが、6小節目にEb7(9)というコードが出てくるところが違っている。
歌メロがちょうど9thのテンションになっていて、ここで一気に開放感が演出されている。楽曲のクライマックスといって良いだろう。
7~8小節目は、イントロでも出てきた進行。トニックへ向けたツーファイブで曲を締める。
Cメロ(Key=A)
| A | E | G#m7-5 C#7-9 | A |
| D#m7-5 | DbM7 | Abm7 Abm7/Db |
2番の後の大サビの部分だ。ここからは「Key=A」に転調する。
さんざん同主調からの借用和音を多用してきただけに、ここで同主調(厳密にはその平行調だが)に転調するのは、さながら伏線が回収されたといったところだろうか。
5小節目のD#m7-5はディグリー表記だとIV#m7-5。II7やIVM7、VImなど、色々なコードの代理コードとして解釈されるので「準ダイアトニックコード」といってもいいくらい頻出のコードだ。
6小節目からは転調していく。突然DbM7というコードがでてくるが、その前にD#m7-5が出てきているからか、割と自然につながって聴こえる。
7小節目からは元のキー(Gb)に戻るためのツーファイブ。その後は、AメロとBメロのコード進行そのままの間奏が来て、再びAメロBメロを繰り返して終了する。
音楽制作者から見た、ハイレゾ音源のメリットと落とし穴
ハイレゾ音源の基礎知識
ハイレゾ音源とは、
- ビット深度
- サンプリングレート
これら2点(あるいは片方)を、一般的な音楽CDのフォーマットよりも高く設定して販売している音源のこと。
一般的な音楽CDのフォーマットは、
- ビット深度 → 16bit
- サンプリングレート → 44.1kHz
となっている。これらを超える場合、ハイレゾ音源ということになる。
ビット深度について
アナログの音声信号をデジタルに変換する場合の、音量の標本化の細かさのこと。
具体的には、ダイナミックレンジ(音の大小)をどれだけ細かく区切るかの尺度だ。
音楽制作の現場では、24bit以上で録音やミックス等の作業が行われることが多い(その後マスタリングの際に16bitに落とす)。
サンプリングレートについて
アナログの音声信号をデジタルに変換する場合の、時間軸における標本化の細かさのこと。普通の音楽CDのサンプリングレートは44.1kHzなので、1秒間に44,100回だけ標本化されることになる。
実用上は「どのくらいまで高い音を記録するか」ということを決めるための尺度となっている。その根拠は、物理学(信号処理)の「標本化定理」。サンプリング周波数の1/2の周波数(ナイキスト周波数)を超える周波数成分は、正しく記録されないのだ。
CDのサンプリング周波数が44.1kHzなのは、他でもない、人間の可聴域の上限に合わせているからだ。
- 人間の可聴域の上限:約20kHz
- CDのナイキスト周波数:44.1kHz÷2≒22kHz
実際に計算してみると、人間の可聴域の上限は、ナイキスト周波数までに収まっていることがわかる。
ハイレゾ音源のメリット
実際に感じられるかは別として、
- 非常に小さな音まで再現できる
- 可聴域の外の音も再現できる
この2点を実現できることが、ハイレゾ音源のメリットだ。
ビット深度を大きくするメリット
先にも触れたが、CDのフォーマットが16bitにもかかわらず、音楽制作現場では24bit以上で録音することがほとんど。この理由について先に説明する。
録音レベルには上限が決まっているため、エンジニアはレベルオーバーしないようにマイクの感度を調整し、歌や楽器を録音する。
しかし、歌唱や演奏の表現によっては、小さい音も録音しなければならない。
そこで、録音が24bitで行われるのだ。24bitだと16bitの256(=2の8乗)倍もダイナミックレンジの情報量があるため、小さい音を録音する場合でも問題ない。
サンプリングレートを大きくするメリット
先にも触れたが、標本化定理により、96kHzのサンプリングレートで録音すれば、48kHzまでの音声は問題なく記録されることになる。
20kHzより上は人間には聞こえない高さの音だが、聴こえなくても感じ方が異なると言う人もいる(実際、生楽器や人の声には、可聴域の外の音も含まれている)。
サンプリングレートを大きくすれば、可聴域の外の周波数まで再生が可能になる。
ハイレゾ音源の落とし穴
CDと同じ16bit/44.1kHzのデジタルマスター音源しか存在しない作品を、24bit/96kHzなどにコンバートし、ハイレゾ音源として販売しているケースがある。こういった「自称ハイレゾ音源」は量子化の細かさは当然16bit/44.1kHzのままなので、ハイレゾで聞く意味がまったくない(データ量が無駄になるだけ)。
例えるなら、昔のTV番組を地デジの解像度に引き伸ばして放送しているようなもの。元の映像が荒ければ、いくら引き伸ばしても当然鮮明にはならない。
また、アナログのハーフインチのマスターテープを掘り起こしてハイレゾ音源として販売するようなケースに対しても、僕は懐疑的な立場でいる。
その根拠だが、まずはビット深度について、そもそもテープのダイナミックレンジはCD以下。音の強弱に関しては特別リアルになるわけではない。
オープンリールテープが持つダイナミックレンジは、磁性体やトラック幅によって差異はあるがおよそ70dB
※普通のCDのダイナミックレンジは96dB。
サンプリングレートについても、同様に効果があるとは言い難い。
テープはCDのように可聴域の外がバッサリ切り落とされるということはないため、可聴域の外の音まで含まれている可能性もある。しかしながら、テープの性質上、可聴域よりも高い帯域がリニアな特性で正確に記録されていることには疑問が残る。
ハイレゾ音源の恩恵が受けられる作品とは
「最初からハイレゾ音源として販売される前提で制作された作品」以外はハイレゾ音源の恩恵が受けられるとは限らない、というのが僕の見解だ。
レコーディング、ミキシング、マスタリングという行程を、すべて24bit/96kHzを維持したまま進められた作品ならば、リスナーに届くハイレゾ音源は、間違いなく通常のCDよりも高音質だといえる。
例えば、クロノ・トリガー(クロス)というTVゲームの楽曲のアレンジアルバム「ハルカナルトキノカナタヘ」は96kHzでセッションを進められた(言及されていないが、ビット深度は当然24bit以上だろう)。
今回、録音からMIXまで96kHzのハイレゾにしているので、ハイレゾ配信もしようと思っています
制作者がこのようなエピソードを明かしている場合、ハイレゾ音源を購入することで恩恵が受けられる可能性が出てくる。
ちなみに、この「ハルカナル~」は録音もミックスも良く非常に高音質なのでオススメできる作品。僕はCDでしか聴いていないが、今後ハイレゾに手を出す場合はぜひチェックしてみたい一枚だ。
そもそもハイレゾは必要か
ポップスやロックでは録音やミックスの過程において、各パートにコンプレッサーなどをかけてダイナミックレンジを狭めることで、一体感や迫力を出している。こういった音楽ではハイレゾのメリットはないといえる。
逆にオーケストラのようにダイナミックレンジが大きい音楽ではきちんとハイビット、ハイレートで録音された作品ならばハイレゾのメリットはあると考える。
また、音楽制作者の立場から言わせてもらうと、演奏や録音方法、ミックス、マスタリングの方が音質に与える影響は遥かに大きい。それと比べればハイレゾかどうかなんて誤差のレベルに過ぎない。CDだろうがレコードだろうが、良い音は良いのだ。
まとめると、一部の音楽ジャンルの中のさらに一部の作品を除いて、ハイレゾで音楽を聴くメリットはないというのが僕の見解だ。